川崎病について。きょうだい間の発症率は低い

川崎病について調べている元患者です。

原因不明とされている川崎病ですが、どうやらこの病気がうつる(伝染する)のかどうか、気になっている人が多いようですね。

私はそもそも「人から人へとうつるものではない」と聞かされてきたのですが、実際はどうなんでしょうか。

信頼できるいくつかのサイトから情報を集めてみました。

▼川崎病の概要については以下の記事でまとめています。

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人から人に感染する可能性は?

結論から言ってしまうと、川崎病は「人から人へとうつることはない」というのが定説です。これまで二次感染、集団感染なども起こっていません。

ただ、専門家でない私が「うつらない」と言ったところで説得力がないと思いますので、いくつか信頼できるソースを紹介します。

小児科医療の第一人者であり、川崎病の研究もされている東邦大学医学部教授・佐地勉医師は次のように語っています。

川崎病は、流行年などは存在するものの、「伝染(感染)する病気」ではありません。兄弟姉妹で発症する率も決して高くはなく、同じ部屋で過ごしていたり、一緒に遊んでもうつることはない病気なのです。(東邦大学医学部教授 佐地勉医師)
出典:川崎病の原因とは? 川崎病はうつる病気ではない – Medical Note

たしかに、私は3歳の頃に川崎病にかかったのですが、兄弟姉妹はかかっていません。ちなみに私は5人兄弟で当時めちゃくちゃ狭い家に住んでいました。

循環器を専門とする日本最先端の医療機関・研究機関である国立循環器研究センターのサイトには、次のような文言があります。

うつる病気ではありませんが、兄弟でかかる場合が1~2%あります。
出典:国立循環器研究センター 循環器病情報サービス

さらっとですが、明確に「うつる病気ではありません」と書かれていますね。

海外のサイトも見てみましょう。

イギリスの国民保健サービス(National Health Service)通称NHSのサイト、NHS Choicesには、川崎病について以下のような説明がなされています。

※NHS Choicesは、イギリスの公的な健康情報サイトで、様々な病気についても調べることができます。

As Kawasaki disease isn’t contagious, it can’t be passed from one person to another. This makes it unlikely that it’s caused by a virus alone.
出典:NHS choices

訳すと、「川崎病は伝染する病気ではないので、人から人へとうつることはありません。このことから、ウイルス単体で感染する病気ではないものと思われます」となります。

第一線で活躍する川崎病の研究者、国立の研究機関、イギリスの国営医療サービス事業であるNHSが、「うつる病気ではない」と明言しているのですから、「川崎病はうつらない」というのが定説であることは間違いないでしょう。

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兄弟姉妹での発症率は低い

川崎病はまれに兄弟姉妹でかかる場合があります。

兄弟姉妹で発症することがあるとはいえ、それをもって川崎病が伝染する病気だと言うことはできません。

兄弟姉妹での発症は、川崎病を引き起こす要因から説明がつくものと思われます。

現在のところ川崎病は遺伝的要素と環境因子(ウイルスや細菌など)によって発症するものと考えられています。

参照 ⇒ 川崎病の原因とは? 川崎病はうつる病気ではない – Medical Note

兄弟姉妹が遺伝的な類似性を持ち、なおかつ似通った環境で生活することを考えれば、兄弟姉妹で罹患することがあっても不思議はないと言えるでしょう。しかも発症率はごくわずかです。

川崎病に兄弟姉妹でかかる率は1~2%

流行する年があるのはなぜ?

川崎病 患者数の推移出典:(NHK Eテレ「ハートネットTV 急増する川崎病 ―病と戦う子どもたち―」より)

川崎病には流行する年があり、これまで1982年や1986年に大流行しました(近年患者数が増加しており、2014年には過去最高の15,979人を記録)。

年によって患者数に変化があることから、川崎病が他人にうつると思ってしまう人もいるかもしれませんが、これも川崎病が何らかのウイルスや細菌などの環境因子によって発症するとされていることを考えれば説明がつくと思います。

特定の時期に、何らかのウイルスや細菌(もしくは化学物質など)が増加することがあれば、それに伴って川崎病患者が増えるということは十分にあり得ます。

この辺りは、川崎病の原因となるウイルス、細菌、毒性物質などが特定されれば、より詳細なメカニズムが分かってくるものと思います。

まとめ|うつる病気と勘違いされることも

今回は、「川崎病はうつる?」という疑問について情報を集めてみました。

3歳の頃にかかった川崎病に私が再び関心を持つきっかけとなったNHK Eテレの番組、『ハートネットTV 急増する川崎病 ―病と戦う子どもたち―』では、うつる病気と勘違いされるなど、川崎病への無理解や偏見から辛い思いをされた人の声が紹介されていました。中には、「嫌がられたので隠れるように暮らした」という人も。

川崎病は原因不明の病気であり、また近年患者数が急増していることから、偏見や誤解を持つ人が出てくるのもある程度は致し方ないのかもしれません。しかしだからこそ、病気に関する正しい知識を持つことは大切だと思います。

日々、川崎病の謎を解明するための研究は続いています。2016年1月には、理化学研究所が川崎病の発症に関わる遺伝子を発見したと発表しました。

参照 ⇒ 川崎病の発症に関わる「ORAI1遺伝子の多型」を発見

この発見は、各研究所や大学、病院などが連携した共同研究によるもので、川崎病の発見者である川崎富作先生も携わっています。

今後も川崎病に関する新しい情報が出てくることが予想されますが、このブログでもできる限りそれらを追っていけたらと思っています。

▼川崎病の原因や症状、治療法などの概要についてはこちら。

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