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ロビン・ウィリアムズ最後の主演作『余命90分の男』あらすじと感想

      2017/04/03

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WOWOWシネマ『余命90分の男』を観ました。2014年8月11日に急逝したロビン・ウィリアムズの生前に公開された最後の主演作。作品の内容から、自ら命を絶った彼の最期を否が応でも被らせてしまう「特別な」作品です。

WOWOW公式ページ

監督、キャスト、作品情報他

監督はフィル・アルデン・ロビンソン。代表作は日本でもヒットした『フィールド・オブ・ドリームス』です。短期で常に怒りまくっている主人公のヘンリー・アルトマンを演じるのがロビン・ウィリアムズ。彼を診察し、「余命90分」というデタラメな診断をするシャロン医師役に、『テッド』でヒロインを演じたミラ・クニス

本作は、1997年のイスラエル映画『Mar Baum』のリメイクです。アメリカでは2014年5月23日から一部劇場において限定公開され、その後、ビデオ・オン・デマンドによる配信が行われたそうです。ロビン・ウィリアムズの主演作としては、かなり寂しい規模の公開となったようです。日本でもごく一部での公開に留まっており、全世界における興行成績もあまり振るわなかったみたいですね。

原題はThe Angriest Man in Brooklynで、直訳すると「ブルックリンで一番怒っている男」です。うーん、邦題の方が全然いいですね。

あらすじ/多少のネタバレあり

タイトルの通り、ロビン・ウィリアムズ演じる弁護士のヘンリー・アルトマンは、四六時中怒り狂っています。そんなヘンリーはある日、病院の検査で脳動脈瘤という診断を受け、余命90分という滅茶苦茶な宣告を受けます。それを信じた彼は残り僅かな時間に、壊れてしまった妻や息子との関係を修復させるために奔走しますが中々上手くいきません。一方、その場の勢いで嘘の余命告知をしてしまったシャロンは自責の念に駆られ、ヘンリーを何とか病院に連れ戻そうと奮闘します。最終的に、シャロンの尽力もあって妻と息子との関係を修復することができたヘンリーは、その後8日間生き、穏やかな死を迎えます。

ロビン・ウィリアムズ本人と切り離して観ることができない

ヘンリーは余命90分というデタラメな宣告を受けるのですが、脳動脈瘤を患っていることは事実であり、いつ死んでもおかしくない状況であることが映画の中で明かされます。観客は、主人公がいずれ死ぬことを知りながら、自分の人生を振り返り為すべきことを為そうと奔走する彼の姿を見ることになります。同時に、この作品を観る観客のおそらくほとんどは、ヘンリーを演じるロビン・ウィリアムズその人が、映画公開からわずか数ヶ月後に自ら命を絶つという事実を知っているわけです。どうしても、ヘンリーの台詞の一つ一つが、ロビン・ウィリアムズ本人の言葉であるかのように思えてしまいます。

印象に残った場面

ロビン・ウィリアムズの遺言のようなビデオメッセージ

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息子と会うことが叶わないと思ったヘンリーが、ビデオメッセージを残そうとする場面があります。若いホームレスの男性に持たせたビデオカメラの前で語るヘンリーの言葉は、さながらロビン・ウィリアムズ本人の遺言のように聞こえてきます。ホームビデオの粗い画質がまた、遺言的雰囲気の醸成に一役買っています。

ロビン、逝くな

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ヘンリーがブルックリン橋から飛び降りて自殺しようとする場面があります。それを必死に止めようとするミラ・クニス演じるシャロンの涙に猛烈に感情移入してしまいました。「ロビン、逝くな」って感じで。

低予算で作られた映画だからなのかもしれませんが、橋の上から飛び降りるシーンは明らかに合成だと分かる映像になっています。え?と驚くようなレベルです。これはもう完全に主観なんですが、この低レベルな合成の画が、クラシカルな映画を思い起こさせるんです。まさに「映画」という印象が前景化されて、まるでロビン・ウィリアムズという俳優に捧げるオマージュの場面であるかのように感じてしまいました。

まくし立てるヘンリー

タイムリミットが近づく中、息子に会うためにタクシーを強奪したヘンリーとシャロンが警察の尋問を受けるシーンがあります。ここでヘンリーは病院に急ぐ必要があると嘘をつき、これまでの経緯を長々と警察に説明します。映画のストーリーのダイジェストといった内容のこの長台詞を早口で一気にまくし立てる様は素晴らしく、『グッドモーニング, ベトナム』のエイドリアン・クロンナウアを彷彿とさせ、これまた感動してしまいました。



現実が作品を特別なものに

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正直言って、作品それ自体は、「気楽に観られてちょっと感動できるコメディ」といったレベルだと思います。しかし、奇しくも本作がロビン・ウィリアムズの最後の主演作と(残念ながら)なってしまったことで、特別な作品になっています。

ヘンリーがブルックリン橋から飛び降りた後、イースト川でシャロン医師に助けられる場面があるんですが、そこで映画の語り手(ヘンリーの声)によって語られる言葉を引用します(字幕をそのまま書き出しているので、原文とは多少内容が異なります)。

橋から飛び降りた瞬間 時の流れが止まり
ヘンリーは思った
人生は不思議で はなかない
その一瞬一瞬が貴重でかけがえのないもの
喜びと驚きに満ちている
なぜ自殺を試みるまで気づかなかったのか
腹立たしくてしかたなかった

このように語られる映画の公開から3ヶ月も経たない内に彼が本当に自殺してしまうというのは、なんとも皮肉な話です。

映画のラスト近く、ベッドの上のヘンリーが息子に次のように語ります。

自分の墓石にはこう刻まれる
“ヘンリー・アルトマン1951-2014”

ロビン・ウィリアムズは1951年生まれ。亡くなったのは2014年です。うーん、この符合は偶然とはいえ考えさせられますね。

映画のラストシーンで、ヘンリーの遺灰はイースト川に散骨されます。ロビン・ウィリアムズ本人の遺体も火葬された後、サンフランシスコ湾に散骨されたそうです。



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 - 映画

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