NBAの女性審判は何人?不均衡是正の方針により今後増える見込み

NBA バスケットボール

普段からNBAの試合中継を観ている人はお気づきでしょうが、最近は女性レフェリーが試合をジャッジすることが珍しくなくなりました。NBAは今後も女性審判を増やしていく方針とのこと。根底には、バスケットボールの審判に求められる身体能力や判断力は男女に差がないという認識があります。

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NBAの女性審判(フルタイム)の人数は4人(2019年12月現在)

2019年12月現在、NBAのフルタイムの女性審判の人数は70人中4人。増えてきているとはいえ、依然として女性審判は男性審判に比べて圧倒的に少数です。日本の感覚からすると女性がNBAの試合で笛を吹いている時点でだいぶ進歩的に感じられますが、本来は男女半々であってもおかしくありません。NBAでレフェリングをする上で男性でなければならない合理的な理由はないからです。後述しますが、NBAも女性審判が少なすぎると考えており、不均衡を是正するための対策をしていくと表明しています。

初の「母親審判」も誕生

2019年12月6日(現地時間)のブルズ対ウォリアーズ戦では、2014年からNBAの審判を務めるローレン・ホルトカンプスターリング氏が出産後最初の試合に臨み、初の「子持ちの女性審判」となりました。日本でも「ママさん審判誕生」などと報道されています。

ホルトカンプスターリング氏はパートナーもNBAの審判で、12月6日には2人が同日に異なる試合で審判を務めました。おそらくこれもNBA史上初の出来事だったと思われます。

NBAで最初の女性審判

CNNによると、NBAの試合で女性審判が初めて笛を吹いたのは、1997年のこと。ヴァイオレット・パルマー氏(Violet Palmer)とディー・キャンター氏(Dee Kantner)の2人がNBA史上初の女性審判としてその名を刻んでいます。パルマー氏は初のオープンリー・レズビアンの審判でもありました。

当時、選手の中には女性審判を起用することに批判的な意見もあったようです。スタープレイヤーだったチャールズ・バークリーは、女性審判に試合を任せるべきでないという趣旨の発言をしています

ただ、パルマー氏によると試合中に女性差別的、同性愛差別的な言葉を選手から投げかけられたことはなかったそうです。

パルマー氏は18年間、NBAで審判を務めたのち2016年に引退。キャンター氏は2002年に解雇されるまで5年間、NBAの審判を務めました。

今後は新規採用の半数が女性審判に?

NBAコミッショナーのアダム・シルバーは、2019年5月にワシントンDCで開かれた経済界のリーダーが集う集会「The Economic Club of Washington, D.C.」において、NBAのレフェリーを男性が独占してきた歴史を変えていく必要性について語っています。

New York Timesの記事によると、レフェリングは身体的に男性が女性よりも適しているわけではないとシルバーは考えており、男性による独占状態となっている現状を改善するために、新しく採用する審判の半数は女性にすべきであると明言しました。

また、シルバーはコーチングについても男女の格差をなくさなければならないと語っています。NBAでヘッドコーチを務めた女性はこれまでに一人もいません。将来のヘッドコーチ候補としては、現在、サンアントニオ・スパーズのアシスタントコーチを務めるベッキー・ハモン氏(Becky Hammon)が最有力となるでしょう。ハモン氏はNBA史上初のフルタイムのアシスタントコーチでもあります。

女の子の将来の夢に「NBAの審判」が加わる

NBAはアメリカで最も先進的なプロスポーツリーグとして知られ、MLBやNFLと比較してもかなりリベラルな文化を持っています。2016年には、ノースカロライナ州で制定された「ハウスビル2」(HB2※)に抗議し、翌年のオールスター戦の開催地をノースカロライナ州シャーロットから変更したこともありました。

※出生証明書に記された性別以外のトイレ使用を禁じる法律。トランスジェンダー差別として批判を呼びました。

アダム・シルバーが表明した女性審判を増やしていくとの方針は、Diversity & Inclusionを掲げるNBAにとっては当然の成り行きと言えるでしょう。

いつか、NBAの試合で笛を吹きたいと夢見る女の子も増えてくるかもしれません。性別の違いによって閉ざされていた扉が開かれ、女の子たちの将来の可能性が広がるというのは本当に素晴らしいことです。

参考

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