日本近代文学館に併設されているカフェBUNDAN COFFEE & BEERで妻とランチしてきました。小説好き、文学好きにはたまらない、落ち着いた雰囲気の素晴らしいカフェでした。
小説好きにとってのオアシス的空間。文学作品にちなんだオリジナルメニューは必見
『BUNDAN COFFEE & BEER』は、京王井の頭線「駒場東大前駅」から徒歩8分ほど、東京大学駒場キャンパスに隣接する駒場公園内の日本近代文学館1Fにあります。
▼駒場公園の東門から入ってすぐ右手にあります
店内には約2万冊の本があり、本に囲まれながらランチやコーヒータイムを楽しめます。店内の本は全て手に取って読むことができ、中には文学好き大興奮の希少本も。
僕らが訪れたのは11時30分過ぎ、店内には読書に耽る男性が一人。本の世界に深く沈み込んでいる様子。
天気が良く初夏の陽気だったので我々はテラス席へ。
▼読むだけで楽しいメニュー
カフェ『BUNDAN』の最大の特徴は小説家や文学作品にちなんだオリジナルメニューです。僕が注文したのは『ローストビーフごはん』。芥川龍之介の『或阿呆の一生』で言及されている歌人、翻訳家の片山広子の随筆作品『子猫ノハナシ』にちなんだメニューです。ローストビーフをごはんの上に載せたもので、和洋折衷感がまさに「明治」といった雰囲気(写真は撮り忘れました)。
妻は村上春樹の『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』に出てくる料理『ハードボイルド・ワンダーランドの朝食セット』(ソーセージ、サラダ、マッシュポテト、フランスパン)を注文。モーニングメニューですが、ランチの時間帯にも注文できます。妻から少し分けてもらったのですが、トマトソースで煮込んだストラスブルグ・ソーセージがジューシーで絶品でした。フランスパンは三軒茶屋にあるブーランジェリーの有名店『シニフィアン・シニフィエ』から取り寄せたものを使用しています(こちらも写真を撮り忘れました。食べかけの写真はあるのですが載せるのは憚られる感じなのでスイマセン)。
▼ブラジルコーヒー『芥川 AKUTAGAWA』と『灰色の(?)コカコーラ』
ドリンクは僕がブラジルコーヒー『芥川 AKUTAGAWA』、妻が『灰色のコカコーラ』を注文。『芥川』は、日本のコーヒー文化発祥の地と言われる銀座のカフェ・パウリスタで出されていたコーヒーを再現したもの。カフェ・パウリスタは、芥川龍之介や宮沢賢治、高村光太郎、菊池寛、与謝野晶子が通ったとされるカフェです。真偽のほどは定かでないようですが、「銀座のコーヒー店・カフェーパウリスタでブラジルコーヒーを飲むこと」が銀ブラの語源だとも言われています。ちなみにカフェ・パウリスタは関東大震災によって閉店しましたが、1970年に復活し現在も銀座で営業しています。
妻が注文した『灰色のコカコーラ』は中上健次の初期の短編小説に由来します。もしや本当に「灰色のコカコーラ」が来るんじゃないかとドキドキしていたのですが、、、
普通のコーラでした!
ちなみにこの作品は村上龍の鮮烈なデビュー作『限りなく透明に近いブルー』に影響を与えたといわれる小説で、『鳩どもの家』という短編集に収録されています。
夜明けの空がつかのま見せる美しさを、村上龍は「限りなく透明に近いブルー」と呼び、中上健次は「灰色のコカコーラ」と呼んだ…。おはようございます。ひんやりとした朝です。#川越 pic.twitter.com/OxODNoTU7n
— 盛田隆二⭐『父よ、ロング・グッドバイ』 (@product1954) 2013年10月2日
テラス席は公園の緑を眺めながらゆっくりできるので、本に囲まれた店内の雰囲気とはまた違った良さがあります。小さなお子さんと一緒にランチしたい人にはテラス席がおすすめです。僕らが行った日も、よちよち歩きの可愛い男の子を連れたお母さんがいらしてました。
会計を済ませるため再び店内に入ると、本を読む人やコーヒーを飲みながらおしゃべりする人など、席は8割ほど埋まっていました。次来るときは店内を利用してみようと思います。
旧前田侯爵邸もオススメ
▼駒場公園内にある旧前田侯爵邸(洋館)
ついでと言ってはなんですが、BUNDANでランチをした後、駒場公園内の旧前田公爵邸(洋館)も見学してきました。駒場公園は元々、加賀百万石(現在の石川県)の当主だった、旧前田家の前田利為侯爵駒場邸の跡地に作られました。大河ドラマ『利家とまつ』で描かれた前田利家の子孫の敷地だったということですね。公園内には前田家が暮らしていた洋館と和館があり、どちらも無料で見学できます。今回は洋館を見学してきました(洋館は保存整備工事のため、平成28年7月1日から平成30年9月末まで休館になる予定だそうです)。
▼日本では中々見ることのできない本格的な洋館建築。重要文化財に指定されています
イギリスのチューダー様式の建物で、館内は写真撮影OKです。平日の昼間でしたが結構人がいました。第二次大戦後、占領軍に接収され、しばらくは連合軍司令官の官邸として使用されていたそうです。
客間や書斎、長女、次女、長男の部屋、女中や従者の部屋など、中は広くて迷ってしまうほど。ふらっと立ち寄ってみたわりにとても楽しめました。
『BUNDAN COFFEE & BEER』アクセス・営業時間
〒153-0041
東京都目黒区駒場4-3-55(日本近代文学館内)
京王井の頭線『駒場東大前駅』徒歩8分。『東北沢駅』徒歩10分
小田急線『代々木上原駅』徒歩12分
営業時間:9:30~16:20
定休日:毎週日・月・第4木曜日
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