映画『この世界の片隅に』のサントラが2016年11月9日に発売されました。予告編でも流れるオープニングテーマの「悲しくてやりきれない」や主題歌の「みぎてのうた」、エンディングテーマの「たんぽぽ」他、コトリンゴによる全33曲が収録されています。
サントラに収録されている楽曲の一覧やそれらを手掛けたコトリンゴのプロフィール、楽曲制作の背景などについてまとめました。
▼映画『この世界の片隅に』の内容や感想についてはコチラ
目次
『この世界の片隅に』サントラの内容紹介
収録曲一覧|映画の場面を思い起こさせる曲目リスト
『この世界の片隅に』オリジナルサウンドトラックの収録曲は下記の通りです。
- 神の御子は今宵しも
- 悲しくてやりきれない
- 引き潮の海を歩く子供たち
- すいかの思い出
- 周作さん
- うちらどこかで
- 朝のお仕事
- 隣組(作詞:岡本一平 作曲:飯田信夫 編曲:コトリンゴ)
- すずさんと晴美さん
- 広島の街
- 戦艦大和
- ごはんの支度
- 径子
- 疑い
- ありこさん
- ヤミ市
- りんさん
- デート
- 大丈夫かのう
- お見送り
- あの道
- 良かった
- 左手で描く世界
- 白いサギを追って
- 広島から来たんかね
- 飛び去る正義
- 明日も明後日も
- すずさんの右手
- 最後の務め
- みぎてのうた(作詞:こうの史代・片渕須直 作・編曲:コトリンゴ)
- たんぽぽ(作詞・作曲・編曲:コトリンゴ)
- すずさん
- New day
(楽曲リストは『この世界の片隅に』公式HPより)
映画を見た人は各楽曲のタイトルを見るだけで映画のシーンが思い浮かぶのではないでしょうか。私は曲目を見ただけで泣けてきます(笑)
ほぼオープニングからエンディングまでのストーリーの流れに沿って曲が収録されているので、あの場面で流れていたあの曲はなんだっけ、といったときにも探しやすいと思います。
サントラ収録の全33曲を手掛けるのはコトリンゴ
映画『この世界の片隅に』の音楽を担当しているのはシンガーソングライターのコトリンゴ。サントラに収録されている全33曲すべてを作曲または編曲という形で手がけています。
2003年に名門バークリー音楽大学で学位を取得し(ジャズ作編曲科/ピアノ演奏科専攻)、その後、ニューヨークで曲作りを開始。
2006年に坂本龍一のラジオにデモテープを送ったことで注目され、同年11月に「こんにちは またあした」でデビュー。2013年からはキリンジ(KIRINJI)にキーボード&ボーカル担当として参加しています。
コトリンゴはこれまでに『BECK』や『新しい靴を買わなくちゃ』など、映画音楽も多く手掛けており、片渕須直監督作『マイマイ新子と千年の魔法』(2009年)には、主題歌「こどものせかい」(書き下ろし)を提供しています。
2010年には、フリッパーズ・ギターの「恋とマシンガン」、スピッツの「渚」、YMO「以心電信」、松任谷由実「ノーサイド」などのカバーが収録されたカバーアルバム『picnic album 1』をリリース。このアルバムの収録曲の一つが『この世界の片隅に』のオープニングテーマとして使用されているザ・フォーク・クルセダーズの「悲しくてやりきれない」です。
片渕須直監督は『picnic album 1』に収録された「悲しくてやりきれない」を聴き、『この世界の片隅に』の主人公すずの心情に曲が合っているとのことでコトリンゴに楽曲提供を依頼。その後、コトリンゴが本作の音楽を担当することになりました。
映画のシーンを想像しながらの曲作りとなったそうですが、中盤以降、空襲が激しさを増し戦争の色が濃くなるにつれて楽曲制作も大変になっていったとのこと。
コトリンゴはインタビューで次のように語っています。
前半の曲は作りやすかったんですけど、後半はすごく大変だったところがあって。具体的に言うなら、サントラの21曲目の“あの道”ぐらいから、音楽の毛色もちょっと変わってくるんです。それまでは外向きで楽しいすずさんの気持ちがあったんですけど、だんだん内に内に入っていく感じの音楽になってきて。そこは、いろいろ思考錯誤しながらやっていました。
出典:のん主演『この世界の片隅に』の立役者 コトリンゴインタビュー
各場面の空気感や主人公すずの心情に寄り添いながらの曲作りとなったようです。
サントラのジャケットは監督補・浦谷千恵
サントラのジャケットは、監督補・浦谷千恵による描きおろしです。
浦谷千恵は、片渕須直監督の妻でもあり、『アリーテ姫』や『マイマイ新子と千年の魔法』など、片渕作品のほとんどに参加しています。その他にも劇場版アニメ『鉄コン筋クリート』や細田守監督の『サマーウォーズ』にも参加しています。
▼浦谷が描いた『マイマイ新子と千年の魔法』のイメージボード
出典:WEBアニメスタイル
さいごに|傑作を語る上で欠かせない音楽
こうの文代の原作、細部にまでこだわったアニメーション表現、「のん」をはじめとしたキャストの声と並んで、劇中で使われている音楽は『この世界の片隅に』という大傑作を語る上で欠かせないものとなっています。
映画を観た人もこれから観る人もコトリンゴが手掛けた映画を彩る楽曲たちをじっくり味わってみてはいかがでしょうか。
▼『この世界の片隅に』のブルーレイが発売されています。
▼映画の感想や制作背景について書いています。