保育園に子どもを入園させる労力は計り知れないものがあります。
特に認可保育園に入れるのは至難の業で、私が住んでいる都内だと倍率が数十倍というところはざら。私たち夫婦は子どもが産まれる前から保育園入園のための活動、いわゆる保活が大変であることをさまざまなところで聞かされ戦々恐々としていました。
ちなみに我が家は私が在宅フリーランス、妻がフルタイム勤務で、祖父母とは同居していません。お互いの実家は2時間以上かかる距離にあり、身近に子どもを預けられる親族もいません。
結果的にうちの子は第一志望の認可保育園に入園できたましたが、一次選考では落選し、二次選考でも落選、もう諦めかけていたときに急きょキャンセルが出たとの連絡があり、なんとか入園と相成りました。本当にギリギリです。
以下、娘を保育園に入園させるために私たち夫婦が行った対策について、保活の基本情報を交えながら紹介したいと思います。
※あくまでも私が暮らしている東京都内の保育園入園に際しての対策ですので、すべての方に当てはまるものではないことをご了承ください。
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目次
認可保育園に入れるには「フルタイムの共働き」が最低条件?
選考基準の多くはポイント形式
まず、保育園入園の際の選考基準は自治体によって異なりますので、まだ情報をお持ちでない方はお住いの自治体に問い合わせてみてください。
基本的には、保育の必要度に応じて選考が行われるので、共働きの家庭や他の家族(子にとっての祖父母等)に子どもを預けることが難しい状況の人が優先的に入園できるような仕組みになっています。
私が住んでいる市もそうですが、最近では多くの自治体でポイント制を導入しているようです。たとえば、週40時間以上働いているフルタイム勤務なら50点、週35時間なら45点というふうに点数が割り振られ、夫婦の合計点数で順位付けがなされます。
そこに、保育の必要度が他の家庭以上に高いと思われるシングルマザー、シングルファザーの場合にはプラス20点、上の兄弟姉妹がすでに入園している場合はプラス5点、家族に要介護の人がいる場合はプラス5点、入園を希望する子どもが現在認可外の保育園に通っている場合はプラス3点等々、各条件に合わせて加点がある場合もあります。
私の市では、点数にはカウントされませんが親と同居しているかどうかや親の住む家との距離なども選考の際に考慮されました。保育の必要度という観点からすると、家で子どもの面倒をみられる祖父母が同居している場合、多少不利になる可能性はあります(祖父母が要介護などの場合には逆に有利になると思われます)。
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保活の熾烈さに尻込みし端から諦めてしまう人も
この点数競争のようなものが熾烈で、都内だと激戦となっている0歳や1歳では両親共働きでフルタイムというのが最低条件と言われています。
そこにどれだけ上積みできるかが勝負の分かれ目となり、非常に稀なケースだとは思いますが、大きな加点を貰えるシングルマザー、シングルファザーになるために一時的に離婚する人などもいるそうです。
もうこんな話を事前に聞かせられると戦いの前から戦意喪失してしまって保活自体を諦めてしまいたくなりますよね。
実際、近所に住んでいる妻のママ友の中には、本当は子どもを入園させたいけど、どうせ入れるわけないからと保活自体しないという人も結構います。
ただ、現在私の子どもが通っている保育園では、父親がフルタイム、母親が時短という家庭のお子さんが入園してこられたこともあったので、両親が共働きのフルタイムでなくても入園できる可能性はあると思います。ちなみにその子は2歳児クラスの4月入園でしたので、0歳、1歳に比べるといくらか入りやすかったということもあるのかもしれません。
いずれにせよ、様々な条件を元に優先順位が付けられますので、両親が共働きのフルタイムでないからといって端から諦めてしまう必要はないと思います。
自営業(在宅ワーク)でもフルタイム勤務として認められた
我が家は妻がフルタイム勤務です。私は2013年に会社を退職して以降、しばらくは育児と家事に専念する専業主夫として過ごし、その後在宅で仕事を始めました。いわゆる在宅ワーカー(フリーランス)です。
市が配布している「保育園の入園案内」に入園の選考基準としてポイント表が載っており、それによると自宅で働いている人は日中7時間以上の就労が常態の場合は外勤のフルタイム勤務と同じ点数がもらえます。点数は40点満点中の40点です。
ただ就労時間を自己申告するだけではダメで、勤務実態の信憑性を保証する書類の提出が求められます。
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ポイントを得るために開業届を提出
私が住んでいる市では、在宅ワーカー(フリーランス)を含む自営業者は、登記簿謄本、個人事業主の開廃業等届、営業許可証等いずれかのコピーの提出を求められます。私は開業届のコピーを提出しました。これがないと、フルタイムの外勤と同じ満点の評価が得られないのです。
在宅フリーランスの方は事前にお住まいの自治体に保育園入園の際に必要な書類や選考基準等について確認し、対策を練っておくことをお勧めします。フルタイムの外勤の人たちに比べると多少手間が増えますが、子どもの保育園入園を少しでも有利にするためには必要とされる労力です。
また、開業届は税務署に提出するのですが、この手続きはとても簡単なので、まだ提出していない方はすぐにでもやった方がいいと思います。本当に一瞬で終わりますから。
補足:開業届の提出方法
開業届の提出方法についても簡単に説明しておきます。必要ない方は読み飛ばして下さい。
開業届(正式名称:個人事業の開業・廃業等届出書)とは、新しく事業を開始したときや廃止したときに提出が必要となる書類のことです。国税庁のホームページからPDFファイルをダウンロードできます。この書類に必要事項を明記して、管轄の税務署に直接提出する他、郵送での提出も可能となっています。
提出先は納税地を管轄する税務署となります。税務署の所在地については、国税局の所在地及び管轄区域のページで調べることができます。
また、フリーランスになると、自分で所得税の計算をし、申告しなければなりません。その際、通常の白色申告書ではなくて節税効果の高い青色申告書を選択するために、青色申告承認申請書の提出が必要となります。開業届と併せて提出してしまった方が楽なので、まだの方は一緒にやってしまうことをおすすめします。こちらも国税庁の所得税の青色申告承認申請手続のページからダウンロードできます。
開業届や青色申告承認申請書の提出方法は様々なサイトで紹介されていますので、やり方がよく分からない人は調べてみて下さい。
私は以下のサイトを参考にしました。
MFクラウド:独立・開業の第一歩!「開業届」の書き方と抑えておきたい3つのポイント
事前に下調べし、入りやすい保育園を狙う
開業届のコピーの提出により、私たち夫婦は共働きフルタイム認定を受けることができたわけですが、それだけでは十分ではありません。
我が家は上の子がすでに入園していたり、要介護の家族がいたりといったその他の加点を得られない状況だったので、かなりの苦戦を予想していました。
ただやれるだけのことはやろうと決め、事前に各保育園の情報を調べておき、より入りやすいところを狙っていきました。他の自治体でどうなのかは分かりませんが、私が住んでいる市では、各保育園の募集人数が一覧になっていて、保育園の入園案内の冊子やホームページで確認できました。
そこで注目したのが保育園の年齢別の入所人数です。
園児の新規募集人数を調べる
例えば子どもを4月から1歳児クラスに入れたい場合を考えてみましょう。
ある保育園の0歳児の入所人数が8人で、1歳児の入所人数が9人となっていたら、入園できる可能性はかなり低くなります。既に通っている0歳児のほとんどがそのまま1歳児クラスに上がると思われるため、1歳児クラスの新規の募集人数は1人となることが予想されるからです。
そこで、入園を希望する年齢クラスの入所人数から、一歳下のクラスの入所人数を引いて新規募集人数を調べます。その人数が多いところは比較的入園できる可能性が高くなるものと思われます。
※各年齢クラス別の新規募集人数を公表している自治体の場合は、上のような計算をする必要ありません。
さらに、お住まいの自治体が各保育園の入園希望者の人数を公表している場合は、倍率の計算も可能になるため、より入園確率の高い保育園を見定めることができるでしょう。
入りやすさと通いやすさのバランスを考えて第一志望を決める
私たち夫婦は自宅から通える距離の保育園を5つほどピックアップし、各園の1歳児クラスの新規募集人数を書き出しました。その後は、入りやすさと通いやすさのバランスを考えて優先順位を付けました。
自宅から近く、見学に行ったときの印象も良かった保育園があったのですが、1歳児クラスの新規募集人数が1人だったので第一志望にすることは避けました。結局、1歳児の新規募集人数が8人の園が見つかり、自宅からは少し離れていましたが入園できる確率はそこが一番高いだろうと判断し、第一志望にすることにしました。
第一次、第二次選考で落選も、土壇場で逆転入園
最初にも書きましたが、結果的に第一次選考は落選し第二次選考でも落選しましたが、急なキャンセルが出たことにより土壇場で逆転入園という形になりました。これまでの努力が報われ夫婦で大喜びしました。
やれることは全てやったつもりですが、最後は運が味方してくれた感じです。もしキャンセルが出なければ、うちの娘も保育園には入れませんでした。
私たち夫婦と同じかそれ以上に保活を頑張ったにもかかわらず、保育園に落ちてしまった人たちもきっと大勢いることでしょう。その人たちのことを考えると心が痛いです。子育てしながら働くためにこれほどの労力を費やさねばならないなんて(しかもそれが報われるとは限らない)、この国の子育て環境は最悪ですね。
まとめ
以上、私たち夫婦の保活について紹介させてもらいました。保活の実態というものがなんとなくイメージできたでしょうか。
やはり百聞は一見に如かずといいますか、実際に経験してみると、待機児童問題というものの深刻さを肌で感じることができました。私が在宅ワーカー(フリーランス)ということもあり、かなり不安だったのですが、諦めずに対策しておいてよかったです。
しかし、子どもが保育園に入れず、育休明けに復職するはずが退職せざるをえなくなってしまう人や、月10万以上の認可外保育園に預けなくてはいけなくなる人なども現にたくさんいます。
「保育園落ちた日本死ね」また今年も? 4月入所、落選ラッシュに悲鳴 SNSで怒り共有
こういった現状を少しでも改善するためにできることは、我々子育て世代が選挙に行き、国の予算配分に影響を与えることだと思います。今の政府は対外的に勇ましい発言を繰り返してばかりで本当に国民の生活、生命を守る気があるとは思えません。防衛予算を増やすよりも子育て支援や社会福祉に金を回すことの方がよっぽど国民の生活、命を守ることに繋がると思うんですが。
東京の武蔵野市では、保育園に落ちた親たちが保育園増設を求めて「保育園増やし隊@武蔵野」という組織を作って活動を行ったりしています。
今年も「保育園落ちた」の声続々と–東京都武蔵野市で「保活交流会」が開催
今後も当ブログでは、保育園の増設、保育士の待遇改善を含めて、この国の子育てを取り巻く様々な問題に関心を持ち続けていきたいと思います。
この記事が少しでも皆様の参考になれば幸いです。
保育について多く取材してきたジャーナリストの猪熊弘子さん、弁護士・寺町東子さんが執筆しています。
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