私が主夫になった理由について。後悔しないための選択。

父と子

このブログのタイトルはかつかつ主夫ブログなんですが、そもそもなぜ私が主夫になったのか、今回はその理由を書いてみたいと思います。

▼ヒモ呼ばわりされることもけっこうあります。

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男性の育休が許される雰囲気じゃなかったので、退職

育児のために有休を取っていたAさんの話

以前私が勤めていた会社(従業員40人くらいの小さな会社)に子育てにきちんとコミットしている(ように見える)男性社員Aさんがいました。

出産予定日が数ヶ月前に迫ってからは必ず定時で帰るようになり、出産後にパートナーが体調を崩したり子どもが熱を出せば颯爽と早引き、有給は完全消化。

素晴らしいなぁと思って密かに応援していたんですが、その人は会社内で完全に変人扱いされていました。なんなんだあいつ、舐めてんのか?みたいな。ほぼ全員から。

30代半ばのある男性社員が言っていました。「奥さん専業主婦なんだから早く帰る必要ないだろ」と。

彼は、一人で乳幼児の世話をするのがどれだけ大変なことか、全くわかっていなかったのでしょう。育児の過酷さをまだ経験していなかった当時の私は、「何かコイツの言ってることおかしいぞ」と思いつつもはっきりとその発言に対する反対の意思表示ができず、「ああ、なるほど」と、今思い返すとなんとも情けない相槌を打ってしまっていました。

ちなみに、Aさんのパートナーは外国出身の方で、頼れる親族が日本にいないようでした。

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日本における男性の育児休暇取得率

日本における男性の育休取得率はわずか1.89%(厚労省『雇用均等基本調査・平成24年度』より)で、これは国際的にみてもかなり低い数字です。この数字の背景には制度的な問題や日本特有の企業文化、根強い性別役割分業意識など、複合的な問題があると思います。

日本の常識は世界の非常識などと言われることがありますが、時と場所が違えばあのAさんを変人扱いしてた会社の人たちこそ、子育てに無理解な「おかしな人たち」ということになるのでしょう。

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男性の育休に理解のない社会における、個人としての選択

私はしっかり子育てに携わりたいと考えていたので、少なくとも半年くらいは育休を取りたいなぁという願望がありました。

しかし、Aさんのような人を変人扱いする会社に子育てしたいからしばらく会社を休ませてくださいなどと訴えることは、私にとって無理ゲーでした。残念ながら、私はそういった集団の圧力に屈さない強靭な精神力を持ち合わせた人間ではありません。

妻の妊娠が分かった時点で、会社を辞めるという決断をしました。

新卒一括採用のような旧態依然とした日本の雇用慣行や労働市場の硬直性を考えると、かなりリスキーな選択だったと思います。

この国では履歴書に一年、二年の空白を作ることが、再就職する上で致命的なこととされていますから。その空白期間に「何やってたの?」と質問されて「主夫をやっていました」なんて答えたとしたら、面接官はポカンと呆けた顔をして黙ってしまうに違いありません。理解不能でしょう。

もちろん、子育てや働き方に対する日本社会の古めかしい考えや、「昭和か!」と突っ込みたくなるような企業風土が変わっていくことを願いますが、今を生きる私たち個人には、何年かかるか分からない社会の変化を待っている余裕はありません。目の前に並べられた限りある選択肢の中から、最適な解を求めなければならないのです。

私の場合はそれが退職という選択になりました。もちろん、妻が病院勤務の忙しい仕事をしていて、彼女の職場復帰を考えた場合、私が主夫になるという選択をすることが合理的であったという側面もありますし、在宅でできる翻訳の仕事に興味があったということもあります。

それでも、一番大きかったのはやはり、会社員を続けていては子育てに十分に関わることができないという私の置かれていた現実でした。

子育てというのは一生に一度きりです。子どもはあっという間に成長します。

仕事の忙しさにかまけて、気が付いたときには我が子が自分の手を借りる必要がないほどに大きくなっていた、なんて最悪です。

私にとっては、会社を辞めることよりもそっちの方がよほど恐ろしく思えました。

「男は家庭より仕事を優先すべき」「子育ては女がするもの」などといった悪しき価値観を葬り去り、性別に関係なく育児にきちんとコミットするのが当たり前な社会を作っていかなければいけません。少しずつ変化の兆しはあるものの、そのスピードが遅すぎます。

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6 COMMENTS

かつゆ

かつかつ主夫さん、初めまして。
調べものをしていたらこちらのブログに辿り着いて、育児関係の記事を読みました。

私も、かつかつ主夫さんと同意見です。

我が家は現在共働きで、私が子供の看病などで会社を休まなければならないときの、上司の面白くなさそうな対応にガッカリします。
「あいつは権利を行使する」なんて陰で言ってたこともあったみたいです笑

日本社会は精神論や古い考えからなかなか脱却できないですよね(ー ー;)

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かつかつ主夫

かつゆさん、コメントありがとうございます!

上司の方のそういった対応は残念ですね。陰口まで叩いたりして。ただでさえ子どもが体調崩すと親は不安になるものなのに・・・

そもそも権利は行使できるからこそ意味があるわけで、「行使できない権利」なんて権利じゃないですよね。

僕が勤めていた会社では、「会社に一番長くいるやつが偉い」って考えがはびこっていて、競って残業するような雰囲気がありました。
日本特有の「おかしな」企業文化だと思います。

我が子が社会人になる頃にはもう少し改善してたらいいな、そのために自分のできることを頑張りたいな、なんて思ったりしています。

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かつどん

かつかつ主夫さん、はじめまして。
日本の会社文化はおかしなところが有りすぎですよね。
私も男性かつかつ主夫さんの価値感にかなり近いです。
ところで、翻訳はもともと仕事をされていたのですか?私も在宅でやりたいのですが、どのようにスキルを身に付けられたのか教えた頂けませんか。

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かつかつ主夫

かつどんさん、コメントありがとうございます。
返信が遅くなってしまい申し訳ありません。
本当に日本の会社文化には首を傾げたくなることが多いですね。
翻訳のスキルについてですが、僕は特に学校に通ったりはしておらず、参考書などを使った独学です。
翻訳の仕事をされている方の中には翻訳学校に通ったり、翻訳会社で経験を積んだり、色々な方がいるようです。

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ウォンバット82

とても共感できるご意見でした。うちも生後8週で妻の私が時短復帰し、妊娠中から非常勤になってくれた夫と二人で育児をしています。
日本の母親信仰は根強く、奇異な目・哀れな目・非道な人のように見られることもありますし、私自身、仕事で子どもと離れる時間が辛く、最初は夫を信頼して任せることにも慣れませんでした。他方、夫の無理解に対するストレスがなく、一緒に奮闘する同志がいて心強いです。
いまの日本社会は、枠組みから外れないために、父親は働いて育児の「お手伝い」役に甘んじなければならない、そこに母親礼讃という心地よい理論を持ち込むことで、「仕方ないよ」ということになっているんだと思います。でも世のお父さんはほんとはもっと子どもと一緒にいたいのではないでしょうか。そういうことが普通に言えて、当たり前の選択肢として在る社会になったらいいなと思います。これからもかつかつ主夫さん応援しています。

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かつかつ主夫

ウォンバット82さん、コメントありがとうございます。
ご夫婦で協力し合いながら育児をされているとのことで、似た立場の者としてとても励みになります。
ウォンバット82さんがおっしゃるように、日本社会における母親礼賛、母性信仰は根深いものがありますね。それらが働く母親を苦しめるとともに、父親の育児参加を拒む要因にもなっていることを日々実感しています。私も妻も心無い言葉(悪気はないのでしょうが)を周囲から投げかけられてウンザリすることが多々ありました。
少し話は逸れてしまうかもしれませんが、絵本や育児本、育児サイト、自治体から配布される育児関連の資料などに使われている主語が当たり前のように「お母さん」、「ママ」となっていて、父親として疎外感を感じることも多いです。こういったところにも「子育て=母親がするもの」という価値観が反映されているのでしょうね。
子育て世代の働き方、生き方の選択肢がとても少ない今の社会ですが、子どもたちの将来のためにも少しでも良い方向に変わっていってほしいと願っています。私もウォンバット82さんのことを陰ながら応援させていただきます。

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