かつかつ主夫です。
ここ数年、男性の育児参加の重要性がさまざまなところで語られていますね。2010年からは厚生労働省がイクメンプロジェクトなるものを始め、国を挙げて子育てする男性を応援する機運を高めようとしています。
そんな中で注目されている指標が男性の育休取得率。はたして、実際に育休を取得する人は増えているのでしょうか。また、取得した育休の期間はどの程度なのでしょうか。
目次
育休取得率の推移|超低空飛行が続く
まずは男性の育児休業(休暇)の取得率の推移を見てみます。
厚生労働省による『平成28年度雇用均等基本調査』のデータをもとに、1996年度から2016年度までの数字をグラフにしてみました。
2016年度は前年の2.65%から0.51%増加して過去最高の3.16%を記録。過去最高とはいっても男性のおよそ30人に1人以下しか育休を取得していないわけですからきわめて低い数字だと言えるでしょう。
同年度の女性が81.8%だったことを考えると雲泥の差です。
厚生労働省は2020年度までに男性の育休取得率を13%にする目標を立てていますが、このままのペースでいくと目標達成は絶望的と言わざるをえません。
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育休の取得期間は?
上で見たように、近年男性の育児休暇(休業)の取得率は微増しています(ほとんど増えていないとも言えますが)。
それでは、それらの男性が取得した育休期間はどのくらいなのでしょうか。
以下、厚生労働省による『平成27年度雇用均等基本調査(pdf)』のデータをグラフ化しました。
2015年度における男性の育児休業の取得期間は、5日未満が56.9%、5日~2週間未満が17.8%、2週間~1か月未満が8.4%、1か月~3か月未満が12.1%、3か月~6か月未満が1.6%、6か月以上が3%となっています。
全体の約75%が2週間に満たない日数しか育休を取得していません。半数以上が5日間未満というのも驚きです。
そもそも5日未満の休みは育休と呼べるのでしょうかね。私には普通の有給休暇と何が違うのかよくわかりません。
このように、取得率は低く取得期間は短いというのが、男性の育児休暇の現実です。
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育休を取りたいと思う男性は多い
上で紹介した統計から、育児休暇(休業)を取得している男性は非常に少ないということが分かりました。
その一方、育児休業を取りたいと希望している男性は多いようです。
2013年にライフネット生命保が行った調査では、「子どもが生まれたら育児休業を取得したいか」という質問に対して男性の約6割が「取得したい」と答えています。
また、大学生を対象に行われた意識調査では、子育てについての質問項目で「育児休暇を取って積極的に子育てしたい」と答えた男子学生(2017年卒)が全体の33.9%を占めています。
参照:2017年卒 マイナビ大学生のライフスタイル調査(pdf)
男性の育休取得率が約3%しかない現状に対して、実際に取りたいと思っている男性は10倍以上いるわけです。
では、育休を取得したいと考える男性の希望を叶えてくれるような会社は日本にあるのでしょうか。
育休を取りやすい企業は?日本生命の取り組み
男性の育休取得率は悲惨なまでに低く、期間はきわめて短いという現状について紹介しましたが、中には積極的に男性の育休取得を奨励している企業もあります。
男性の育休取得100%を達成した企業
男性の育休取得に積極的な企業の一つが日本生命です。日本生命は男性社員の育休取得率100%を3年連続で達成しており、様々な媒体で記事にもなっています。
私はこのニュースを目にしたとき、「日本にもいよいよこういった会社が現れたか!」と驚くと同時に「こんな会社に勤めたかったなぁ」と羨ましくもなりました。
ちなみに私は勤めていた会社が育休を取れるようなところでなかったので、妻の妊娠が分かったタイミングで退職することを決意しました。
しかし、日本生命の取り組みを詳しく知るにつれ、逆の意味で驚いたこともあります。
それは取得した育休の期間です。
取得期間は1週間程度
日本生命が2013~2015年度に育休を取得した男性従業員を対象に行ったアンケートによると、育休の取得日数は7日~9日(日本生命が推奨)が58.9%、7日未満が40.4%。10日以上取得した従業員はわずか0.6%という結果でした。
参照:「男性の育児休業」で変わる意識 と働き方 100%取得推進の事例企業での調査を通じて(pdf)
つまりほとんどが1週間程度の育休しか取得していなかったわけです。これは上で紹介した日本全体における男性の育休取得期間と同じような数字です。
生まれて間もない子どもの育児にしっかり携わりたいと考えている男性にとって、1週間というのはどう考えても短すぎます。
また、実際に育児・家事をやっている方なら分かることだと思いますが、1週間程度の休みではパートナーの負担軽減にはほとんどなりません。
まったく休んでくれないよりはマシといった程度です。
会社選びの際は育休取得率と同時に期間にも注目すべき
下記の東洋経済オンライン記事によると、育休取得率の高い企業というのは日本生命以外にもあるようです。
ただ、会社選びの際には育児休暇(休業)の取得率だけでなく、どれくらいの期間休んでいるのかを見ておく必要があるでしょう。
ほんの1週間程度のいわゆる「なんちゃって育休」であっては意味がありません。
参照できる具体的なデータが公表されていない場合は、事前に問い合わせてみることをおすすめします。
短期間でも意識改革には繋がる?
育児休暇が1週間程度と短かったとしても、そういった制度がないよりはある方がいいのでしょうか。なにかしらの意義はあるのでしょうか。
上で引用した日本生命の男性従業員対象のアンケートによると、短い期間ながらも育休を取得したことで、対象者の多くにその後の育児や家事への取り組みに関して意識の変化が見られたそうです。
また、同じ職場で働く子持ちの女性社員への理解にもつながっているとのこと。
参考:男性の育休率100%を、日本生命はなぜ達成できたか 1週間の取得は育児の「きっかけづくり」
上の記事にもあるように、短い取得期間ながらも育児をスタートする上での「きっかけづくり」にはなるのかもしれません。
しかし逆に言えば「きっかけづくり」にしかならないとも言えるわけです。
また、日本生命の場合、会社側が育休の取得期間の目安を1週間としていることから、それ以上休業したいと考えている男性社員は心理的な抵抗を覚える可能性も考えられます。
「きっかけづくり」は本来の目的ではない
日本生命のケースでは、育休を取得した男性従業員に意識の変化が見られ、これから父親として育児に携わる上での「きっかけづくり」に繋がっているということでした。
これはある程度評価できることかもしれませんが、一方で育休取得がたんなる「きっかけづくり」で終わってしまってよいのかという問題もあります。
そもそも、育児休業の目的とはどういったものなのでしょうか。
厚生労働省が行っているイクメンプロジェクトでは、男性の育児休業が必要である理由について以下のような説明がなされています。
- 男女の「仕事と育児の両立」を支援する
- 女性に偏りがちな育児・家事負担を夫婦でシェアする
- 女性の出産意欲や継続就業の促進
- 次世代を担う子どもたちを安心して生み育てるための環境の整備
1週間程度では、到底これら育児休業の取得推進による「仕事と育児の両立可能な社会」の実現は難しいでしょう。
少子化により国の社会保障制度が崩壊しかねない危機にある現状を考えれば、「男性の意識が変わった」とか「育休取得率が過去最高を記録した」(たった3%ですが)などと次元の低い話にとどまっている場合ではありません。
「なんちゃって育休」を早々に卒業しさらにその先に行くためにも、男性の育児休業の取得率だけを指標とするのでなく、期間にも注目していくべきだと思います。
以上、男性の育児休暇の現状について、取得率や期間、企業の取り組みなどについてまとめてみました。
少しでも参考になれば幸いです。
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