幼児が感情をコントロールできないのは当然。必要なのは親の忍耐力?

小さな子どもは感情のコントロールが上手くありませんよね。

いわゆるイヤイヤ期と呼ばれる2歳、3歳前後の時期は大変です。私も娘のイヤイヤにはかなり苦労しました。

外出先で癇癪を起こし、床に寝転んで泣き叫ばれたりしたときにはこちらも泣きたくなります。お手上げ状態。

我々大人からすると理解しがたい小さな子どもの感情の爆発ですが、どうやら原因は脳にあるとのこと。

今回はそんな幼児のセルフコントロール(自制心)と脳の関係について考えてみたいと思います。

また、親は欲求を抑える幼児の能力に期待し過ぎているという興味深い調査結果も紹介します。

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幼児の感情の爆発は育て方のせいではない

子どものイヤイヤが激しかったり、何度注意しても同じことを繰り返したり。

こういったことが続くと、自分の子育てになにか問題があるのでは?と不安になってしまいますよね。

私たち夫婦も当初は娘の癇癪の凄まじさに驚いてしまい、自分たちの育て方やしつけの仕方に原因があるのではないかと思い悩んだ時期がありました。

ただ、幼児が感情をコントロールできないのは当たり前のことなんですよね。程度の差こそあれ子どもにはこのような時期がありますから。

幼児が感情をコントロールできない理由

脳科学的説明

いわゆるイヤイヤ期について調べてみると、「自己主張する時期は大切」だとか「自我の芽生え」だとか心理学的にこの時期の重要性を説くものを多く見かけます。

私は心理学については完全に門外漢ですが、これらの説明には納得させられるし、なるほどと思わさせられます。

しかし私が最もしっくりきたのは脳科学的なアプローチです。

つまり幼児が感情をコントロールできないのは脳の発達が未熟であるからというもの。単純明快ですよね。

人間の「こうしたい」という感情や様々な欲望のコントロールを司っているのは脳の表層にある前頭前野(前頭前皮質)という部分ですが、幼児はこの部位が発達していないがゆえに自制心が働かず感情が爆発してしまうらしいのです。

子どもは前頭前野が未発達

私がこういったイヤイヤ期の脳科学的な説明に初めて接したのは、2016年に放送されたNHKスペシャル『ママたちが非常事態!? 最新科学で迫るニッポンの子育て』でした。

番組ホームページから一部引用します。

前頭前野は、目標達成のために衝動的な欲求を抑える脳機能の中枢。これが未発達なうちは、脳の中心付近からわき起こる本能的な欲求を抑えることが出来ず、イヤイヤ行動が引き起こされてしまうのです。

つまり、幼児は衝動的な欲求を抑える機能を果たす前頭前野が未熟なため、感情を上手にコントロールできないということです。

ちなみに、一部の認知症の患者が感情の起伏が激しくなったり反社会的とされる行動を頻繁に起こすようになるのも、大脳が萎縮することで前頭前野が影響を受けるためと言われています。

参照:前頭側頭型認知症(FTD)とは|認知症ねっと

前頭前野の発達には時間がかかる

前頭前野は人の進化の過程において最後に構築された脳の部位なので、生後の成熟や発達が遅くなるそうです。

それゆえ、生まれてまだ数年しか経っていない幼児は前頭前野が未熟なんですね。

参照:ヒト前頭前野の発達と進化

また、前頭前野は社会的動物である人間にとって最も重要である言語の習得にも関連しており、時間をかけて少しずつ成熟させていくことで幼児の言語習得を容易にする側面があるとも言われています。

参照:Why Toddlers Throw Temper Tantrums

幼児のセルフコントロールと脳のメカニズムについて最低限の知識を持っておけば、自分たちの子育ての仕方に必要以上に思い悩んだり不安になったりといったことも少なくなるかもしれませんね。

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expectation gap|幼児の自制心を過大評価する親

前頭前野が未発達なために幼児は感情のコントロールが苦手であるという事実がある一方で、小さな子どもの自制心を親は過大評価しているという興味深い調査結果があります。

小さな子どもを持つアメリカのミレニアル世代(1980年代から2000年前後に生まれた世代)とジェネレーションX(1960年代初頭または半ばから1970年代に生まれた世代)の親を対象に2015年に行われたアンケート調査です(人種や宗教など多様な背景を持つ人々を対象にしています)。

参照:Parents of Young Children Tell Us What They Think, Know and Need

この調査で明らかになったのは、”expectation gap” つまり親が子どもに期待することと実際に小さな子どもができることとの間にギャップがあるというものです。

例えば、親に禁止されていることを我慢する能力がいつから備わるかという質問に対して、56%の親が3歳より前と答え、そのうち18%は生後6ヶ月以降と回答しています。

しかし実際に親から「してはいけない」と言われたことを我慢できるようになるのは3歳半4歳頃からです。たとえこの年齢に達していても感情や衝動のコントロールを覚えていくには周囲のサポートが不可欠と言われています。

これはアメリカで行われた調査ではありますが、子育て中の日本の親にも当てはまるのではないでしょうか。

子どもは2歳くらいになってくると少しずつ言葉を話すようになりますし、親が「これはやっちゃだめだよ」と伝えたことを復唱したりできるようになりますよね。

おそらくこういった幼児の言葉の発達が、私たち親を混乱させる最大の要因になっているのだと思います。

「人を叩いちゃダメ」とか「手で食べない」とかいった様々なルールを子どもは「分かっているはず」なのに、なぜ同じことを何度も繰り返してしまうのか。戸惑ったり頭を抱えたりということは私にもたくさん覚えがあります。

言葉が達者になっていく子どもと毎日接していると、ついつい「もうこれくらいできるでしょ!」と思ってしまうんですよね。

幼児は肝心の自制心を司る脳の部位が発展途上であること、衝動を抑えたり欲求を抑制したりする能力がしっかりと備わっていないことを理解し、過剰に期待しないようにすれば(expectation gapを埋められれば)、親子ともどもいらないストレスを抱えずに済みそうです。

まとめ|子を変えるのではなく親の意識を変える

口が達者でときに大人顔負けの発言をしたり、親のお手伝いをテキパキこなしたりする一方で、手でごはんをつまんで食べたり床に寝そべって手足をばたつかせながら「お菓子食べたいー!ぎゃあーー!」と泣き叫んだり。

そんな両極端の顔を持つのが幼児なんですよね。

幼児の未熟な脳とセルフコントロールの関係性を考えると、親がいくら叱って子どもを「矯正」しようとしたところで限界があります。

親に求められるのは、子どもが感情をコントロールできるように「しつける」ことではなく、子の成長を辛抱強く見守る忍耐力なのかもしれません(しつけが全く必要ないというわけではありません)。

私も娘の表面的な成長に惑わされて彼女の自制心や欲求を抑える能力に過剰な期待を抱かないよう気をつけたいと思います。

また、こういった子どものワガママやイヤイヤが成長段階において誰にでもあること、しつけや親の育て方ではどうしようもない領域があることを子育てに従事する大人だけでなく社会全体で理解することも必要でしょう。

社会全体で育児リテラシーを向上させなければ、「甘やかしているからだ」とか、「静かにさせろ」だとか「泣き止ませろ」だとか無理難題言ってくる人たちはいなくならないでしょうし、なにかと子育てしづらい息苦しい世の中も変わっていかないと思います。

以上、この記事が子育てに悩む方の参考になれば幸いです。

かつかつ主夫でした。

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