東京・六本木の国立新美術館で開催中の草間彌生展「わが永遠の魂」(会期:2017年2月22日 – 5月22日)に行ってきました。
国立新美術館の開館10周年を記念して行われる今回の展覧会では、草間彌生が2009年から取り組んでいる大型絵画シリーズ「わが永遠の魂」の中から約130点が出展されます(これらは日本初公開)。
また、1950年代の初期作品からニューヨーク時代、現在に至るまでの創作活動を網羅した過去最大規模の大回顧展です。
以下、草間彌生展「わが永遠の魂」の混雑状況から、作品の感想、ミュージアムショップで買えるグッズ情報まで紹介します。
▼同時期開催の『ミュシャ展』でスラヴ叙事詩を観てきました。
目次
草間彌生展の混雑&所要時間
▼会場の国立新美術館の外でも展示が行われています。
草間彌生《木に登った水玉2017》。展覧会は2月22日(水)からですが、実は既に一部の作品の展示が始まっています!国立新美術館の開館日であれば、ご覧いただけます(芝生、植え込みへの立ち入り、および土を踏むことは、ご遠慮ください)。 https://t.co/PBHGmbCx56 pic.twitter.com/61aSRJPng3
— 「草間彌生 わが永遠の魂」展(公式) (@kusama2017) 2017年1月23日
会場内はそこそこの混雑
私が行ったのは2月下旬の平日、午前12時半過ぎ。
草間彌生の大回顧展ということでかなりの混雑を覚悟して行きましたが、案の定、会場の前には長蛇の列。
しかし実はこれ、草間彌生展のオリジナルグッズを購入する人の列で、会場にはすんなりと入れました。
入場までの待ち時間は0分。
入ってすぐの広大なスペースに連作「わが永遠の魂」が展示されています。
▼四方の壁に敷き詰められた巨大絵画の連作「わが永遠の魂」
展示スペースが広いので、人込みで作品がじっくり観られないということはありませんでした。
ちなみにこの展示は撮影もOK(携帯電話のみ)なので、みなさんカシャカシャ撮りまくっています。
「わが永遠の魂」の後は展示スペースも狭くなりそれなりに人が群がる感じになりましたが、それでも混雑してゆっくり観られないというレベルではありません。
強いて言えば、映像作品「Kusama’s Self-Obliteration 草間の自己消滅」の展示スペースはけっこうな人だかりができていました。
だいたいどの展覧会でも映像作品の周辺は人が立ち止まる時間が長いので必然的に混み合いますね。
ちなみに、「わが永遠の魂」以降の初期作品やニューヨーク時代の作品に関しては撮影不可です。最初の流れでそのまま撮影してしまい注意されている方がかなり目につきましたので、お気を付けください。
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グッズ売り場は大混雑。かなりの待ち時間を覚悟すべし
最も混雑していたのは、展示会場を抜けた先のグッズ売り場。
レジ前から会場の外まで長蛇の列ができていました。
草間彌生のグッズはやはり人気がありますね。
グッズを手に入れたい方は並ぶことを覚悟した方がいいと思います。
Twitterなどの情報を見る限り、土日も会場内の混雑はそれほどではないようですが、やはりグッズ売り場はかなり混雑している模様。
1時間以上並んだという人もいたようです。
所要時間は?
▼花をテーマにした立体作品『明日咲く花』(2016年)
私は12時半過ぎに入場して14時過ぎに会場を後にしました。
所要時間は約1時間30分ほど。
会場内の解説パネルは全て読み、作品一つ一つをしっかりと鑑賞してこの時間です。
ただ、最初の「わが永遠の魂」に関しては、時間をかけようと思えばそれこそ永遠に観れてしまうくらい膨大かつ巨大な連作ですので、人によっては全体の所要時間が2時間、3時間を超えることもあり得ると思います。
一度に長い時間鑑賞するのが体力的にキツイという方は、会期中に何度か足を運んでもいいかもしれません。
何度見てもその都度新たな発見があるはずです。
草間彌生展の感想と展示紹介|稀代の「前衛芸術家」
それでは、草間彌生展「わが永遠の魂」の感想です。
今回の展覧会は全5章の構成となっています。
※展示は時系列順ではありません。
- 21世紀の草間彌生(1)
- 初期作品
- ニューヨーク時代1957-73
- 21世紀の草間彌生(2)
- 帰国後の作品1970-2000
第1章:21世紀の草間彌生(1)
まずは、草間彌生の最新作であり今回の展覧会のメイン作品でもある巨大絵画の連作「わが永遠の魂」が来場者を迎え入れます。
2009年に制作が開始された大型絵画の連作で、作品総数は500点以上に及びます。
四方の壁を埋め尽くす作品群は圧倒的な迫力です。その数約130点。全てが日本初公開となります。
各作品にオリジナリティがあり、瞳、横顔、水玉などの反復されるイメージと多様な色彩に幻惑され、言葉を失います。
スマホでの撮影が許されているので、ついつい写真を撮ることに意識を奪われてしまいますが、一度の鑑賞では味わいきれないほど豊かな作品世界にどっぷりと没入してみてほしいと思います。
『花に包まれた地球は戦争のない平和をまっている』、『わたしの大好きな眼たち』、『肉体がボロボロになったわたしの死』『わたしは漫画家になりたい』など、各作品のタイトルもとてもユニークです。
どことなく『ちびまる子ちゃん』を連想させる顔がちらほらと目につきました笑
以下、印象に残った作品をいくつかピックアップして紹介します。
いまわしい戦争のあとでは幸福で心が一杯になるばかり / 2010年
戦争をやめよう / 2015年
命の限り / 2015年
愛の会話 / 2015年
わたしは漫画家になりたい / 2015年
第2章:初期作品
第2章では、草間彌生の初期作品が展示されています。
草間は1929年3月22日、長野県松本市の種苗問屋に生まれました。
10歳の頃にはすでに、水玉をモティーフに絵を描き始め、京都市立美術工芸学校で日本画を学んだ後、故郷の松本で創作活動を開始しました。
1952年には初の個展を松本市で開催しています。
残夢 / 1949年
太陽 / 1953年
第3章:ニューヨーク時代 1957-73
第3章はニューヨーク時代(1957-1973)の作品です。
ニューヨーク時代の草間は、後にネット・ペインティングと呼ばれる手法を用いた作品で注目を集めました。
白い絵具で描かれた弧が網の目状に広がりカンヴァスを埋め尽くす作品は、後の時代の『わが永遠の魂』に見られるような鮮やかな色彩や多様なイメージとは異なり、静謐な雰囲気を醸し出しています。
No.AB. / 1959年
また、この時期には、男根を思わせる突起物を張り付けたオブジェなど、性や食のオブセッション(強迫観念)を主題にした作品も多く残しています。
The Man / 1963年
第4章:21世紀の草間彌生(2)
第4章では2016年に制作された『南瓜』や2017年の『水玉強迫』などが展示されています。
『南瓜』と『水玉強迫』については携帯電話での写真撮影が可能です。
南瓜 / 2016年
種苗問屋に生まれた草間彌生は幼い頃から南瓜に魅せられてきたとのこと。
南瓜の表面には、草間彌生を象徴するイメージである水玉が配されています。
水玉強迫2017 / 2017年
白い壁とマネキンに赤い水玉が描かれた作品『水玉強迫2017』
人の体に水玉を描くというのは、映像作品『草間の自己消滅』でも見られます。
生命の輝きに満ちて / 2011年
鏡に映る光が際限なく広がっていく『生命の輝きに満ちて』
無限に反復される光の連なりは色合いが変化し、しばらくすると真っ暗になります。
混雑時はあまりゆっくりと鑑賞できないかもしれませんが、ずっとその場に居続けたくなる幻想的な空間です。
▼草間作品の中でも特に人気のシリーズ『無限の鏡の間(INFINITY MIRRORED ROOM)』※海外で行われた展示の様子。
草間彌生の『無限の鏡の間(INFINITY MIRRORED ROOM)』は、ケイティ・ペリー(Katy Perry)がインスタグラムに写真を載せたり、アデル(Adele)が”When We Were Young”のライブパフォーマンスのステージに取り入れるなど、海外のアーティストにも高い人気を誇っています。
▼ケイティ・ペリーのインスタグラム。75万以上の”いいね!”が付いています。
▼『無限の鏡の間』を取り入れたセットでパフォーマンスを行うアデル
第5章:帰国後の作品 1970-2000
1972年、親友であり、パートナーでもあったアーティストのジョゼフ・コーネルが死去。体調を崩した草間は翌1973年にニューヨークから帰国し、活動の拠点を東京に移します。
男根状の突起や水玉などの従来のモチーフを再解釈したインスタレーションの制作、小説や詩などの文学作品の執筆、企業とのタイアップまで、日本に帰国後広がりを見せていく彼女の創作世界が体感できます。
自殺した私 / 1977年
『自殺した私』(1977年 / 東京都現代美術館)は、具象的なイメージと従来のモティーフを組み合わせた作品。
かぼちゃ / 1999年
草間芸術の重要なモティーフの一つであるかぼちゃに、大きさの異なる水玉模様が無数に描かれた作品。松本市美術館所蔵。
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文学作品|処女作から海外版まで
処女小説『マンハッタン自殺未遂常習犯』や文学賞で新人賞を受賞した『クリストファー男娼窟』、自伝『無限の網-草間彌生自伝』など、草間が執筆した出版物も展示されています。
英語版やフランス語版、中国語版など、海外で出版された貴重な本も見ることができます。
会場の外の展示物
『草間彌生展 わが永遠の魂』では、会場の外にも作品が展示されています。
南瓜 / 2007年
会場の外に展示されている『南瓜』(2007年)は、高さ4.5m、幅5mの巨大な作品。写真撮影可(携帯電話・スマートフォンのみ)です。
乃木坂駅方面(西入口方面)のチケット売り場の脇の通路を抜けたところに展示されています。
見逃さないように気をつけてください。
オブリタレーションルーム / 2002年~
真っ白な部屋に来場者がカラフルなシールを貼り付けていくオブリタレーションルーム(Obliteration Room)は、2002年にオーストラリアのクイーンズランド州立美術館で始まった参加型のインスタレーションです。
展示室の外、国立新美術館内のロビーに部屋が設けられています。
壁や家具が白で統一された部屋が、日が経つにつれて色で溢れ返っていく様は圧巻です。
▼イギリス・ロンドンにある美術館、テート・モダン(Tate Modern)で2012年に展示された際の様子。
音声ガイドは草間彌生本人による解説!
『草間彌生展 わが永遠の魂』の音声ガイドは、草間彌生本人による作品の解説です。
創作にかける思いや制作秘話の他、草間彌生自作の詩の朗読も収録されています。
解説時間:約35分
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草間彌生展|グッズ情報
(出典:草間彌生展公式HP)
今回の草間彌生展で最も混雑するのがオリジナルグッズが買える展示室併設のショップです。
展示会場の一番最後にあります。
水玉に代表される同じモティーフの反復が特徴的な草間作品は、ポストカードやクリアファイル、バッグなどのデザインと相性が良いですね。
スマホケース、パズル、ビニールポーチ、てぬぐい、トランプなど、どれも可愛らしいものばかりでした。
草間彌生展で買ったYAYOIちゃん人形飾ってみた😆超お気に入り❤❤❤可愛い〜!#YAYOIちゃん見つけた pic.twitter.com/m0AVJ5qDcI
— Mana Osawa -大沢 愛- (@artist_mana) 2017年2月27日
私が訪れたときは40分ほどの待ち時間だったので購入は断念しましたが、これまで訪れた展覧会のオリジナルグッズの中ではダントツの人気でした。
展覧会概要
会期 / 会場 / チケット / アクセス
展覧会名:草間彌生展「わが永遠の魂」
会期:2017年2月22日(水)- 5月22日(月)
休館日:毎週火曜日 ※5月2日(火)は開館
開館時間:10:00 – 18:00
※金曜日は20:00まで(閉館の30分前まで入場可)
※4月29日(土)から5月7日(日)までは毎日20:00まで開館
会場:国立新美術館 企画展示室1E
〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2
最寄駅は、都営大江戸線・東京メトロ日比谷線の六本木駅、または東京メトロ千代田線の乃木坂駅となります。
乃木坂駅は国立新美術館直結なので移動が楽ですが、今回の展覧会は会場の外にも展示があるので、個人的には六本木駅から歩いて正面入口から入場することをおすすめします。
チケット(当日券):一般1600円・大学生1200円・高校生800円
※開催概要・アクセス・チケット情報の詳細は草間彌生展公式HPで確認してください。
http://kusama2017.jp/outline/
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