子供の留守番は何歳から?海外の法律やガイドラインを参考に考える。

家で留守番していた子どもが事故などで命を落としたというニュースを見るたび、同じように小さな子を持つ親として悲しみや恐ろしさを覚えます。

このような悲しい事故をなくすにはどうしたら良いのかと考えるとき、最初に思い浮かぶのは子どもを家で一人にしないということです。

我が家では娘が産まれて以来、保育園に預けている時間を除いて彼女から離れたことは一度もありません。どんなに短時間であっても家で一人きりにはしないようにしています。

子育て中の知り合いの話を聞く限りでは、ゴミ捨ての時などに「一瞬だから」という理由で幼い子を一人家に残したことがあるという人はかなり多いようです。ワンオペ育児だったり育児の負担が一人の人間に集中するといった構造的な問題もあるので一概にこういった行為を責める気にはなれませんが、危ないなぁとは思ってしまいます。

とはいえ、我が家でもいつの日か娘が一人でお留守番をする日がくるかもしれません(当分させるつもりはありませんが)。

では、子どもが一人でお留守番できる年齢は何歳頃なのでしょうか。

ネットで調べた限りでは、他の親が何歳から子どもに留守番をさせたかなどといったアンケート的な内容のサイトは出てくるのですが、安全面などを考慮した上での適切な年齢に言及したものはなかなか見当たりません。

そこで、子どもを家で一人きり(または子どもだけ)にする場合の適切な年齢について、海外、特に欧米諸国の法律やガイドラインなどを参考にしたいと思います。

調べてみると、明確に年齢を定めている国から、年齢は定めていないものの場合によって親が逮捕される可能性のある国、子供を一人にする場合に参照すべきガイドラインを周知させている国など様々ありました。

以下、ニュージーランド、アメリカ、オーストラリア、イギリスの事例を紹介します。

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留守番をさせてよい年齢は?|海外の事例

ニュージーランド|14歳未満の留守番は違法

子どもを一人にしてよい最低年齢を法律上明確にしている国の一つがニュージーランドです。

ニュージーランドでは、14歳未満の子供を家や車に放置することは法律で禁じられています。

14歳未満の子どもの留守番が許されるのは、以下の条件を全て満たした場合のみです。

  • 14歳以上の信頼できる人間の保護下にあること
  • 安全が確保されていること
  • 留守番の時間が長時間でないこと

なお、子どもの見守りを任せて良い14歳以上の人間を選ぶ基準は以下の通りです。

  • 成熟していること
  • 子どもの面倒をみるのに長けていること
  • 緊急事態に対応できること

参照:Leaving children home alone (New Zealand Government)

他国と比べても厳格だと思われるニュージーランドの基準に照らし合わせると、日本では多くの保護者が違法行為をしていることになってしまいます。

アメリカ|留守番可能な最低年齢を定めている州は2つ

続いてアメリカのケースを見てみましょう。家で留守番させてよい子どもの最低年齢を法律で定めている州はメリーランド州(8歳)イリノイ州(14歳)

明確に年齢を定めている州はこの2つだけですが、ほとんどの州には親が参照すべきガイドラインがあります。

FindLawという法律・判決のデータベースサイトでは、それらガイドラインの内容から子どもを留守番させる際に考慮すべき指標(子どもの成熟度)についてまとめています。

  • 7歳以下:時間の長さにかかわらず一人にすべきでない年齢。車の中、公園、裏庭であっても同じ。
  • 8歳から10歳:1時間半以上は留守番させるすべきでない。時間帯は日中または夕方の早い時間に限られる。
  • 11歳から12歳:3時間までなら留守番させることも可能な年齢。ただし、夜遅い時間や子どもが対処しえない事態の起こる可能性がある環境は避けるべき。
  • 13歳から15歳:保護者なしで家で過ごすことが可能。ただし、一晩中でないこと。
  • 16歳から17歳:場合によって2日間連続、保護者なしで家で過すごとが可能。

参照:When Can You Leave a Child Home Alone? (FindLaw)

オーストラリア|全ての州で子の安全についての規定がある

オーストラリアでは、子供の留守番は何歳から適切だと考えられているのでしょうか。

アメリカと同じように子どもを家に残すことについての対応は州によって異なります。

全8つの州・準州のうち、法律で具体的な年齢に言及しているのはクイーンズランド州。法的に保護責任を負う者が12歳未満の子どもを「過度な時間」家に残した場合、最大3年間の禁固刑が科される可能性があります。

過度な時間(unreasonable time)の定義は、子どもの置かれた環境によって判断されます。

クイーンズランド以外の州では法律に具体的な年齢についての言及はないものの、保護責任を負う者が放置することによって子を危険にさらしたと判断された場合には罪に問われる可能性があります。

参照:Is it illegal to leave your kids home alone in Australia? (SBS)

イギリス|年齢を定めた法律はないが違法になるケースも

イギリスでは、子どもに留守番をさせてよい年齢を定めた法律はありませんが、子供が危険な目に遭う可能性のある場所に一人きりにすることは違法です。

家や車に子どもを残す場合は危険が及ぶかどうか親が判断する必要があります。

参照:The law on leaving your child on their own (GOV.UK)

イギリス政府のホームページでは、親の判断基準としてNSPCC(National Society for the Prevention of Cruelty to Children)という児童福祉事業団体の提言を紹介しています。

NSPCCは、子どもの留守番について以下のようなアドバイスをサイトに掲載しています。

  • 赤ん坊、幼児や小さな子どもは決して一人きりにしてはいけない。
  • 12歳未満の子どもは、緊急事態に対応できるほど十分に成熟していない。長時間一人で家に残すべきでない。
  • 16歳未満の子どもを夜通し一人きりにすべきではない。
  • 親や保護者は子どもを家に残すことによって危険にさらしたと判断された場合、ネグレクト(育児放棄)の罪で起訴される可能性がある。
  • 年齢に関係なく、子どもが家に残されることに不安を感じている場合は留守番させてはならない。
  • 子どもが(障害や病気などで)なんらかのサポートを必要とする場合、留守番させる際にはこれらの要素についてしっかりと考慮すべきである。
  • 年上のきょうだいと一緒に子どもを留守番させる場合、喧嘩が起こる可能性やそのときにお互いが安全だと言えるかどうか考慮する。

参照:Home alone | Our advice on leaving a child at home (NPSCC)

アメリカの各州が定めているガイドラインと共通する部分が多いですが、子ども自身がどう感じているかやきょうだい同士での喧嘩の可能性など、なるほどと思わせる見地がいくつかあります。

子どもを一人にすることに対する厳しい目

海外の事例を調べてみて思うのは、子どもを一人にすることに対して社会から厳しい目が向けられているということです。

何歳から留守番させてよいか、年齢を明確に定めている国は多くはなかったものの、子どもの安全に対する意識の高さが法律やガイドライン等にきちんと反映されているように感じます。

そしてこれらの基準は、留守番の間に起こりうる様々なアクシデントに子どもが十分に対処できるかどうかについての考察に裏打ちされており、説得力を持っています。

実際にどれだけの親・保護者が上で紹介した法律やガイドラインを守っているかについては不明な部分がありますが、少なくとも何らかのルールを定めているというのは日本と異なる点でしょう。

小学生以下の留守番は危険では?

私個人としては、いまのところ小学生以下(12歳以下)の留守番は危険だと考えています。

他の国の事例を参考にした場合、少なくとも12歳くらいまでは一人にするのを避けたほうが良いのではないかと。

もちろん子どもの成熟度には個人差がありますし、個性も違いますから一概には言えませんが、緊急時のことを考えると小学校の高学年であっても必ずしも適切に対処できるとは思えません。

いくら子ども本人に留守中のルールを徹底させたところで想定し得ない事態が起こる可能性は常にあるわけです。

これは3.11を経験して以降、多くの人の間に共有された感覚なのではないかと思います。

しかし一方で、常に子どもを保護化に置くのがなかなか難しい現状があるのも事実です。

親・保護者が個人の力でどうにもできないレベルの社会システムの不備があり、これらを解決しなければ子どもの安全がしっかり確保された社会は実現できません。

子どもの留守番を巡る日本の現状を見ながらこの問題についても少し考えてみたいと思います。

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日本の現状は?

小学生の子供に留守番させたことがある親は74パーセント

小学生の子供を持つ母親500人を対象に行われた2014年の調査(アイ・オー・データ機器調べ)では、74%が子どもを1人で留守番させたことがあり、そのうち38.9%1日2時間以上留守番させていると答えています。

また、母親が働いている世帯の約3割週に3日以上子どもを留守番させているとのこと。

調査対象がなぜ母親に限定されているのかよくわかりませんが、とにかく日本の小学生の多くが日常的に留守番をしている実態が伺えます。

一方、「育児で心配していることは?」という質問に対して、働く母親の45.6%、専業主婦の母親の38.4%が「子どもを一人にすること」と答えており、子供を留守番させることに不安を抱えている親が多いことも分かります。

子供の留守番についての罰則はある?

日本では児童虐待防止法違反保護責任者遺棄罪(刑法218条)等がありますが、先に紹介した国または州のように留守番について細かく罰則を定めた法律はありません。

保護者が法的責任に問われるケースのほとんどは、子どもが実際に怪我をしたり亡くなったりした後ではないかと思います。

海外では自宅に子供を一人きりにしていた親が(子を危険に晒したということで)通報されたり逮捕されるというケースはしばしば耳にしますが、日本では子を留守番させる行為それ自体が罪に問われたというのは聞いたことがありません。

たとえばニューヨークの領事館では、「日本では普通と受け止められる行為でも、アメリカでは犯罪と受け止められる場合があります。」との警告をホームページに掲載しています。

アメリカでは子どもから目を離したり、家や車、ホテルなどに放置する行為は例え短時間でも児童虐待と見られ、警察に身柄を拘束されたり罰金等を課されるなど重大な結果を招くことがあります。
参照:外出時等における子どもの放置・安全保護に関するアドバイス(在ニューヨーク日本国総領事館)

子供の安全に対する社会の意識

留守番に限らず、日が暮れた時間帯でも小さな子供が一人で道を歩いている姿を頻繁に見かける現状を考えると、日本社会全体の子供の安全に対する意識は低いと感じます。

子どもを守る法律が欧米諸国に比べて手薄であることの背景にも、このことが関係しているのではないでしょうか。

子を持つ親として私自身は、「他の親がやっているかどうか」ではなく、「これが本当に子どもにとって適切か」という基準で考えたいと思っています。

適切であるかどうかを判断する基準として、今回紹介したような子供の発達に関する知見に基づいた各国の法律・ガイドラインは参考になるでしょう。

親や保護者に責任転嫁してもはじまらない

子どもの安全・安心を考えると本当は家にいてあげたい、しかし仕事などやむにやまれぬ事情でそうできないという人はたくさんいることでしょう。

放課後に子どもが安全に過ごせる施設の不足、企業における長時間労働、一人親家庭への公的援助の不足、シッター文化が普及していない現状等々、この社会が抱える様々な問題が子どもの一人きりでの留守番や鍵っ子という現象を作り出しているのだと思います。

よく子どもが犠牲になる事件・事故が起こると、ネット上などで「親はなにしてたんだ」といったような非難の言葉が溢れかえりますが、全てを保護者の責任に帰してしまっては何も解決しません。

これは社会全体の問題であり、政治の問題でもあります。

当事者として気をつけるべきことと、構造的に解決すべき問題を分けて考えることは重要です。

小さな子を持つ親として自分にできることは可能な限りやりつつ、一市民として子どもを守るために社会がどうあるべきかについて今後も考え続けていきたいと思っています。

以上、子どもの留守番についてでした。

▼「鍵っ子」についても記事を書いています。

関連記事:鍵っ子の頃に気をつけていたこと。防犯の心得など。

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