レッドタートルの感想と海外の評価|珠玉の映像詩誕生の背景

スタジオジブリ初の共同制作作品、『レッドタートル ある島の物語(原題:The Red Turtle)』を観てきました。

第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門特別賞を受賞するなど、海外での評判も上々の本作。

第89回アカデミー賞長編アニメ映画部門にもノミネートされました。日本では、『君の名は。』のノミネートの可能性が期待されていたので、『レッドタートル』と聞いて驚いた人も多かったかもしれませんね。

受賞は『ズートピア』となりましたが、『レッドタートル』がノミネートされ注目を集めたことは個人的にとても嬉しかったです。興行的にはかなり苦しみましたしね。

以下、実際に作品を観た私の感想、制作背景や監督情報、海外の批評家・記者の評価などをまとめました。

『レッドタートル』感想|普遍性を持つ大人の寓話

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※以下、ネタバレを含みますが、内容を知ってから観ても十分楽しめる作品です。

― 人生の滋味に溢れた美しいアニメーション映画 ―

非常に素晴らしい作品でした。アニメーションとしては、物、人の動きで魅せるというよりもどの場面を切り取っても一枚の絵になるような美しさに惹きつけられます。作品を観終わった後も残像として漂うターコイズブルーの海、透明感のある波の色、竹林の緑、謎めいた亀の赤い甲羅。キャラクターや背景の絵柄だけでなく、色彩という面でも日本のアニメーションとは異なる文脈から生まれた作品であることがよくわかります。

一切セリフが出てこない映画ですが(叫んだりはします)、話の内容自体は複雑ではないので混乱することはないでしょう。映像が語り手となり「ある島」で繰り広げられる孤独な生活、出会い、新たな命の誕生、成長、家族、自然の脅威、旅立ち、別れが描かれます。

話の筋はシンプルなのですが、海に投げ出される男の出自や不思議な亀の存在などについて一切の説明がされないので、象徴性が高く解釈の幅が広い作品となっています。解釈の幅が広い=難解というわけではありませんが、分かりやすさとは無縁です。そのような意味で過剰な言葉と感情を煽る音楽に満ちた新海誠監督の大ヒット作『君の名は。』の対極にある作品とも言えるでしょう。

『君の名は。』が中高生を中心とした若い層に向けられた作品であるなら『レッドタートル』は大人向けのアニメーションと言ってよいと思います。孤独、出会い、別れといったあらゆる人々の前に(あるいは後ろに)横たわる経験という名の人生の滋味を、情報のそぎ落とされた映像とそこに寄り添う音楽の中、静かに味わうことができる作品です。私は、成長した息子が高くそびえる波の上を歩きながら、浜辺を歩く両親を見下ろして「別れ」を悟る印象的なシーンで深い感動を覚えました。

先ほども書いたように本作は解釈の幅が広い映画ですが、私は元来孤独である人間がこの世界で偶然出会い、共に生活し、最後は別れていくという普遍的な人生の営みを描いているように思いました。亀という異質な他者との間に子を作り、家族になり、死に別れる。どれだけ他者に同質性を求め一つになりたいと願っても結局のところ私たちは一人で生まれ一人で死んでいく孤独な存在です。そのような「他人」である私たちが偶然出会い、共に生活することは奇跡のようなものです。夫の死を看取った女が再び亀に戻っていくことでこの奇跡は終わりを告げます。

海に投げ出された男のように訳も分からずこの世界に生まれてきた私たちの人生それ自体が奇跡のようなもので、それを終わらせるのは「死」以外にないのかもしれません。

― 自然の驚異 ―

マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督自身は、「自然と人間が向き合う姿を通し、自然への尊重と人間の尊厳を伝えたかった」と語っています。自然を描く上でその美しさや恵みだけではなく脅威を描く必要もあると考えて「津波」の場面を描いたとのこと。この場面は東日本大震災の前に構想していて、3.11後に削るべきか悩んだということですが、脅威の面を描かずして自然を描くことにはならないとの思いから残す決断をしたそうです。

― ジブリの面影 ―

完全に私の主観ですが、映画の中で男の周りをウロチョロする可愛らしいカニたちの姿にジブリの面影を見ました(ススワタリ、まっくろくろすけ)。

また、水中で逃げ場を無くし、見ているだけで呼吸が苦しくなるようなシーンや、野性味溢れる子どもの動きに『未来少年コナン』(ジブリではありませんが宮崎駿の初監督作品です)を連想しました。

― 古来からある寓話のような話 ―

本作は亀が人の姿に化けるという『変身譚』もしくは人が異なる種と結婚する『異類婚姻譚』の一種ですが、ドゥ・ヴィット監督は制作前に高畑勲から小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の怪奇説話集『怪談』を贈られ、衝撃を受けたとインタビューで語っています。古来からある寓話のような話である本作が生み出された陰に、小泉八雲の存在があるのかもしれません。

― 興行的には苦戦 ―

私が本作を観たのは公開2日目でした。観客席には空席が目立ち、予想以上に興行的には苦戦しそうだなと思っていたところ案の定、かなり結果は厳しかったようです。大ヒットした『君の名は。』や『シン・ゴジラ』、同じ2016年9月17日公開のアニメ映画『聲の形』、スピルバーグ監督最新作『BFG ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』、豪華キャストで話題の『怒り』など、強力なライバルが多数いたことも影響したのでしょうが、作風がかなりアート寄りの作品なのでジブリブランドをもってしてもヒットさせるのはかなり難しかったようです。

ただ、アカデミー賞にノミネートされたことで、ブルーレイやDVDなどの販売には好影響がありそうです。個人的には一人でも多くの人に観て欲しい素晴らしい作品でした。

― 日本アニメの影響の外にある作品 ―

上にも書きましたが、本作は興行的にはかなり苦戦しました。『スタジオジブリ総選挙』の投票を『レッドタートル』のサイト上で受け付けたり、50万人を集めた『ジブリの大博覧会』で特設展示を行ったりとプロモーションにもかなり力を入れていましたが・・・。

実際に映画を観た感想として、「ジブリだから観てみよう」というノリだと肩透かしを食らうことは間違いないでしょう。

ただ、このような作品を全国126スクリーンで公開したことにジブリの志の高さのようなものを私は感じました。これまでも三鷹の森ジブリ美術館ライブラリーの活動に代表されるように、世界の良質なアニメーション作品の紹介に努めてきたジブリの本気度が伺えます。

宮崎駿は本作を観て「いま、世界のアニメーションの情勢は、良い意味でも悪い意味でも日本のアニメーションが影響を与えている。あなたの作品を見る限り、日本の影響を一切うけていない。それは見事である」と語っています(出典:映画.com)。

宮崎駿も高畑勲も、『王と鳥』などの若いころに観た世界の素晴らしいアニメーションの影響の下に自分たちのオリジナル作品を生み出していきました。

本作の公開の背景には、放っておけば均質化していく一方の日本アニメの現状に危惧を抱き、日本のアニメシーンに多様性をもたらそうと奮闘するスタジオジブリの姿が見て取れます。日本アニメの代表格でもあると言えるジブリ自身がこのような姿勢であるというのは意義深いと思います。

日本のアニメーションシーンに多様性をもたらし、新たな才能を生み出すための種をまくような作品として『レッドタートル』は広く観られるべき作品だと思います。

▼ブルーレイが発売されます!『岸辺のふたり』など、マイケル監督が手がけた過去の短編作品も収録した作品集です。

▼若き日の宮崎駿、高畑勲が影響を受けた『王と鳥』

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第89回アカデミー賞にノミネート!

『レッドタートル ある島の物語』が、第89回アカデミー賞にノミネートされました。スタジオジブリ作品としては、2013年の『風立ちぬ』、2014年の『かぐや姫の物語』、2015年の『思い出のマーニー』に続いて4年連続のノミネートとなりました。

受賞は『ズートピア』でしたが、2016年はアメリカ、ヨーロッパ、日本と、非常に優れたアニメーション作品がひしめき合った年なので、このノミネートは価値あるものだと思います。

アニー賞を受賞!

出典:http://annieawards.org

2017年2月4日、第44回アニー賞の発表・授賞式が行われ『レッドタートル ある島の物語』が長編インディペンデント作品賞を受賞しました。

アニー賞とは、1972年から始まった国際アニメーション協会(ASIFA)が主催する賞で、「アニメ界のアカデミー賞」とも呼ばれています。今回『レッドタートル』が受賞した長編インディペンデント作品賞は、アメリカ国内において1000館未満の映画館で公開された作品が対象で、2015年に新設されたものです。

日本の作品では他に、新海誠監督の『君の名は。』、原恵一監督『百日紅 Miss HOKUSAI』が長編インディペンデント作品部門にノミネートされていました。

ちなみに、アニー賞の長編アニメ部門の作品賞は、オスカーも獲得したディズニーの「ズートピア」が授賞しています。

カンヌ国際映画祭「ある視点部門」特別賞を受賞

red-turtle-cannes出典:映画ナタリー

第69回カンヌ国際映画祭「ある視点部門」に出品された『レッドタートル ある島の物語』は、現地時間の2016年5月18日に公式上映されました。満席の会場では上映後に5分間を超えるスタンディングオベーションが起き、観客の評判も上々。

現地時間5月21日、見事に「ある視点部門」の特別賞を受賞しました。

授賞式でマイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督は、「この映画をまだ見ていない人はいつか見てください。これはスタッフと私の努力の結晶です。高畑さん、ありがとう!」と本作のアーティスティック・プロデューサーを務めた高畑勲監督に感謝の言葉を述べました。

出典:ジブリ新作『レッドタートル』がカンヌで特別賞!高畑監督も喜び【第69回カンヌ国際映画祭】

海外の批評家・記者の評価・感想

カンヌ国際映画祭に出品され、フランスでは2016年6月29日に劇場公開もされている本作。海外の批評家・記者の評価も軒並み高いものとなっています。

映画批評サイト「Rotten Tomatoes」では、批評家支持率92%(2017年1月25日現在)。「Rotten Tomatoes」ではジブリ作品の多くが高い評価を受けていますが、レビュー数が少な目とはいえ、それらと比較してもかなりの高評価と言えると思います。ちなみにこれまでのジブリ作品では、『おもひでぽろぽろ』や『かぐや姫の物語』が批評家から100%の支持を得ています。高畑勲恐るべし。

以下、Rotten Tomatoesに掲載されている映画批評家・記者のレビューをいくつか引用します。※少し意訳しています。

とてもシンプルで純粋なこの作品は、まるで光り輝くシーグラスの破片のようだ。表現はよどみなく優雅で、世代を超えて何百年もの間語り継がれてきた寓話を思わせる。
Peter Debruge – Variety

美しい作品。水中で泳ぐシークエンスは優雅なバレエを見ているかのようだ。上映中片時も目を離すことができない。シンプルなストーリーは容易に国境を越えるだろう。
Kent Turner – Film-Forward.com

『レッドタートル』の難破した主人公のように、現在(いま)に抗うことを止めて流れに身を任せてみてはどうだろう。
Jordan Mintzer – Hollywood Reporter

80分の上映時間の中で一切会話がないにもかかわらず、この映画は大きな問いを投げかけてくる。野心について、受け入れることについて、人と共にいることの美しさについて。これらの問いは心揺さぶる全てのシーンに響き渡っている。
Robbie Collin – Daily Telegraph (UK)

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あらすじ・制作背景・みどころ

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作品情報・予告編

監督・脚本・原作:マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット
脚本:パスカル・フェラン
アーティスティックプロデューサー:高畑勲
音楽:ローラン・ペレス・デル・マール
制作:スタジオジブリ、ワイルドパンチ、ベルヴィジョン・スタジオ他
プロデューサー:鈴木敏夫、ヴァンサン・マラヴァル
アニメーション制作:プリマ・リネア・プロダクションズ
配給:ワイルドバンチ(海外)、東宝(日本)
上映時間:80分

▼予告編

あらすじ

嵐の中、荒れ狂う海に放りだされた男が九死に一生を得て、ある無人島にたどり着いた。必死に島からの脱出を試みるが、見えない力によって何度も島に引き戻される。絶望的な状況に置かれた男の前に、ある日、一人の女が現れたーー。
出典:『レッドタートル ある島の物語』INTRODUCTION

監督はマイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット

red-turtle-suzuki-dudok▲鈴木敏夫とマイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット。カンヌにて。
出典:arte.tv

『レッドタートル ある島の物語』の監督は、マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット(Michaël Dudok de Wit)。オランダ出身で現在はイギリスを拠点に活動しています。これまで主に短編アニメーションを手掛けてきた人物で、2000年の『岸辺のふたり』(原題:Father and Daughter)は、第73回アカデミー賞の短編アニメ賞を受賞した他、英国アカデミー賞においても短編アニメーション賞を受賞しています。

今回の『レッドタートル ある島の物語』が初の長編作品となります。

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脚本はパスカル・フェラン

pascale-ferran出典:IMDb

『レッドタートル ある島の物語』の脚本は、『レディー・チャタレー』などで知られ、カンヌ国際映画祭での受賞経験もあるフランスの女性映画監督、脚本家のパスカル・フェランが執筆(マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督との共同執筆)。2014年公開の『バード・ピープル(Bird People)』は第67回カンヌ国際映画祭のある視点部門に出品されています。

スタジオジブリ初の共同制作。きっかけは宮崎駿?

red-turtle-totoro▲おなじみのトトロのロゴ。今回は背景が赤。予告編より

そもそもスタジオジブリがなぜ、海外の監督とタッグを組むことになったのでしょうか。日本のニュースサイト等では『岸辺のふたり』を見た鈴木敏夫プロデューサーがマイケル監督に話をしたと書かれていますが、どうやらそれよりも先に宮崎駿監督が「彼に会いたい」と言ったのがきっかけのようです。

本作『レッドタートル ある島の物語』の共同プロデューサーを務めているヴァンサン・マラヴァルがスタジオジブリを訪れた際(『崖の上のポニョ』が公開された時期)、『岸辺のふたり』を観た宮崎駿からマイケル・デュドク・ドゥ・ヴィットを紹介して欲しいと頼まれたそうです。そのとき宮崎は「いつかスタジオジブリがジブリ以外のアニメーターと作品を作るなら、彼を選ぶ」と言ったそうです。

のちに鈴木敏夫が正式なオファーを出し、マラヴァルがデュドク・ドゥ・ヴィットにこの話を持ち掛けました。最初は難色を示したデュドクでしたが、「スタジオジブリ」の名前を出した途端、目の色が変わったとのこと。スタジオジブリ初の海外アニメーターとの共同制作が実現しました。

本作には、スタジオジブリとフランスの映画製作兼配給会社のワイルドバンチ(Wild Bunch)の他、タンタンやスマーフで知られるベルギーのベルヴィジョン・スタジオ(Belvision Studios)も制作に参加しています。

出典:SCREEN DAILY

高畑勲がアーティスティック・プロデューサーとして参加

takahata-isao出典:映画.com

『レッドタートル ある島の物語』には、高畑勲がアーティスティックプロデューサー(artistic producer)として参加しています。

長編アニメーション初挑戦のマイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督は、自身が尊敬する高畑勲のアドバイスを受けることを条件に企画を了承したそうです。

監督はスタジオジブリがある東京都小金井市のアパートに住み、高畑勲のチェックを受けながらシナリオと絵コンテを作成させ、これらが完成するとフランスに戻って本格的なアニメーション制作に入りました。

高畑監督参加のもと、スタジオジブリとシナリオ・絵コンテ作りから効果音・音楽にいたるまで、あるときは直接会い、あるときは海の向こうからデータを送って、節目節目で打ち合わせを重ねた。アニメーション制作の実作業はフランスを中心に行われ、実に8年もの歳月をかけて遂に完成させた。
出典:『レッドタートル ある島の物語』INTRODUCTION

マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督は、スタジオジブリとの共同制作について次のように語っています。

「何かを強要されたことはありませんし、ジブリさんがわたしの仕事を尊重してくれ、信頼関係の中で作業が進んでいったということが一番大きかったです。わたし自身、長編の経験がなかったので、高畑さんや鈴木さんからいただいたのは大変貴重な意見ばかりでした」
出典:シネマトゥデイ

キャッチコピーは谷川俊太郎

red-turtle-copy予告編より

スタジオジブリ作品のキャッチコピーといえば、糸井重里をイメージする人が多いと思います。『となりのトトロ』の「このへんないきものは まだ日本にいるのです。たぶん。」や『魔女の宅急便』の「おちこんだりもしたけれど、私はげんきです。」、『もののけ姫』の「生きろ。」などが有名ですね。『かぐや姫の物語』や『風立ちぬ』など、最近の作品では鈴木敏夫プロデューサーがキャッチコピーを手掛けていました。

本作『レッドタートル ある島の物語』のキャッチコピーを手掛けたのは、詩人の谷川俊太郎。“どこから来たのか どこへ行くのか いのちは?”というコピーは、谷川俊太郎が『レッドタートル』に寄せた詩の一部を抜粋したものです。

『レッドタートル』に寄せて 谷川俊太郎

荒れ狂う波に逆らって
生まれたての赤ん坊のように
男が海からあがってくる

どこなのか ここは
いつなのか いまは
どこから来たのか
どこへ行くのか いのちは?

空と海の永遠に連なる
暦では計れない時
世界は言葉では答えない
もうひとつのいのちで答える

谷川俊太郎によるこちらの詩は、2016年の夏に六本木ヒルズで開催された「ジブリの大博覧会 ~ナウシカから最新作『レッドタートル』まで~」にて展示されました。※会期は終了しています。

これまでのジブリの長編作品と異なる点

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実に構想10年、制作に8年を費やした本作。スタジオジブリの最新作と言われていますが、これまでのジブリ作品とは異なる点がいくつかあります。

まず、初めて海外のアニメーターが監督を務めています。これまでスタジオジブリの所属でないアニメーターが手掛けたジブリの長編アニメーション映画としては、森田宏幸監督の『猫の恩返し』がありますが、海外の監督とタッグを組むのは初めてです。

アニメーション制作にはジブリのアニメーターは直接的には関与していません。予告編の映像を観た方は分かると思いますが、絵のタッチはこれまでのジブリ作品とは大きく異なります。

また、全編に渡ってセリフのないサイレント映画となっています。これもジブリの長編作品としては初めてのことです。

※『パン種とタマゴ姫』など、三鷹の森ジブリ美術館で上映されている短編映画の中にはサイレント作品があります。

レッドタートルに見る、スタジオジブリの今後

スタジオジブリはこれまでにも、『キリクと魔女』や『イリュージョニスト』、『しわ』など、世界の良質なアニメーション映画を公開、販売してきましたが、共同制作という形は今回が初めてです。

制作部門が解体され、『思い出のマーニー』の米林宏昌監督や『かぐや姫の物語』のプロデューサーを務め鈴木敏夫の後継者とも言われていた西村義明氏も退社するなど、大きな変革の中にあるスタジオジブリですが、今後は『レッドタートル』のように共同制作、外部の監督とのコラボレーションといった形が増えてくるのかもしれません。

三鷹の森ジブリ美術館ライブラリーの活動に代表されるように、世界の優れたアニメーションに目を向けてきたスタジオジブリが、今後本作のような形で海外の才能と共に新たな作品を生み出していくことは自然な流れであるようにも思えます。

世界の2Dアニメを牽引してきたスタジオジブリとヨーロッパの才能とがタッグを組むというのは、ディズニーやピクサーに代表されるアメリカを中心とした3Dアニメ全盛の時代に、一石を投じることになるかもしれません。『レッドタートル』は新たなジブリの第一歩となるのか。今後も注目していきたいと思います。

ブルーレイ/サントラ/絵本が発売!

― ブルーレイが発売されました。 -

『レッドタートル』を含めたマイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督の作品集(ブルーレイ)が発売されました。第73回アカデミー賞の短編アニメ賞を受賞した傑作『父と娘』(旧題:岸辺のふたり) も収録。

― 絵本が発売!文章は池澤夏樹 -

『レッドタートル ある島の物語』の絵本が発売されました。文章・構成を芥川賞作家で近年は河出書房新社の世界文学全集・日本文学全集を個人編集したことでも話題の池澤夏樹が担当。池澤夏樹は映画の解説文も執筆しています。

『レッドタートル』の本編には一切台詞がありませんが、この絵本は「島」が語るというスタイルを取っています。語り手を島が務めるという発想は「ある島の物語」という映画の副題とも繋がります(実は日本での公開にあたってこの副題を鈴木敏夫に提案したのも池澤夏樹です)。

マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督の美しい絵の世界が池澤夏樹の言葉によって物語られる本作は岩波書店からの発売です。

― サウンドトラック -

『レッドタートル』のサントラも発売中です。

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