先日、4歳の子どもを連れて歯医者に行き、シーラントという虫歯予防に効果が期待できると言われている処置を受けて来ました。
処置したのは上下合わせて4本の奥歯。溝が深く虫歯になりやすい箇所とのこと。
てっきりフッ素を塗布してもらえると思って来院したため聞きなれないシーラントという言葉に戸惑いましたが、私自身何度もお世話になっている歯医者さんだったので信頼できるだろうと思い処置してもらうことにしました。
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目次
うちの4歳がシーラントを勧められた理由
今回、4歳を連れて来院したのは以前怪我をして診てもらった前歯の状態の経過観察と虫歯予防の処置のためでした。
前歯はほぼ完治したとのことで一安心。
続いて全体の歯の状態を診てもらいました。左上の奥歯にごく初期の虫歯があるとのこと。見せてもらうとたしかに薄茶色に変色している箇所が(意識的に磨いていた所だったのでショック)。
乳歯の奥歯のくぼみはかなり複雑な形状をしていて、仕上げ磨きで食べカスを完璧に取り除くのは難しいそうです。
そこでシーラントを勧められました。聞きなれない言葉だったのですが、歯医者さんの説明によると、歯のくぼみを樹脂(シーラント)で予めふさぐことで虫歯を予防する処置だそうです。
厚生労働省が運営するWEBサイト【e-ヘルスネット】ではシーラントについて以下のように説明しています。
シーラントは、奥歯の溝を物理的に封鎖したりシーラント材の中に含まれるフッ化物により再石灰化作用を促進するむし歯予防法です。
フィッシャーシーラント(fissure sealant)と呼ばれることもあります。fissureは裂け目や亀裂、sealantは密封剤を意味する言葉です。
今回、うちの子がシーラントを勧められたのは上下合わせて4本の奥歯。奥歯は歯ブラシが届きにくく毎日完璧に歯磨きするのは難しいですし、溝をふさいでしまうというのはたしかに合理的な気がします。
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シーラントを乳歯に施す必要性は?
うちの子はまだ4歳なので歯は全て乳歯です。乳歯はいずれ抜けてしまうのでわざわざ虫歯予防しなくても良いと考える人もいるかもしれませんが、乳歯であっても虫歯を放置すべきではないと言われています。
虫歯になった乳歯を治療しないままでいると、新たに生えてきた永久歯が虫歯になりやすかったり歯並びや噛み合わせに影響を及ぼすことがあるからです。
乳歯はやがて生え変わるからケアの必要がないといわれるが、小児歯科の立場からは正しくない。乳歯と永久歯は一度に生え変わるわけではないので、乳歯がむし歯になるような悪い口腔内状態では新たに生えてくる永久歯もすぐにむし歯になる可能性が大きいからである。
参照:日本小児歯科学会
永久歯の歯並びにも影響してきます。きちんとかめないと、あごが発達せず、永久歯の並ぶスペースがなくなってしまうからです。また、乳歯がむし歯によって早く抜けると、永久歯は目標を失って、正しい位置に生えてこられません。
乳歯はいずれ抜けて生え替わるとはいえ、今後長く付き合っていくことになる永久歯に影響を及ぼします。よって、虫歯予防のために乳歯にシーラントを施すことは理にかなっていると言えそうです。
また、6歳臼歯と呼ばれる第一大臼歯(乳歯の奥歯のさらに奥に生える永久歯)が生えてくる6歳頃もシーラントの処置をするのに適した時期だと言われています。
シーラント処置の流れ
続いてシーラントの処置の流れについて。
まとめると以下の通りです。
- 前処理剤で歯の清掃をする
- 水で歯を洗う
- 歯を乾燥させる
- シーラントを奥歯の溝に塗布する
- 青い光を照射しシーラントを固める
- 噛み合わせのチェック
先述したように、うちの4歳は怪我をした前歯の診察のため2度ほど歯医者さんのお世話になっています。歯科衛生士さんを含めてみなさん顔見知りということもあり、特に怖がるそぶりを見せることもなく処置は順調に進みました(少し緊張気味ではありましたが)。
上下の奥歯計4本処置に要した時間は10分から15分ほどだったでしょうか。1本処置する度にうがいをさせてくれるのでずっと口を開けっぱなしということはありませんでした。
歯を削ることもないので痛みもなかった様子。本人は歯科衛生士さんたちに「じっとしてられてスゴいね!」といっぱい褒めてもらって誇らしげでした。
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シーラントの虫歯予防の効果
今回は4歳の歯の虫歯予防のためにシーラントを行ってもらったのですが、その予防効果はどれほどのものなのでしょうか。
厚生労働省運営のe-ヘルスネットから予防効果について言及されている箇所を引用します。
4年以上で約60%のむし歯予防効果が認められ、特にフッ化物応用との併用によりむし歯予防効果はさらに増加すると報告されています。
「4年以上で約60パーセントの虫歯予防効果」が認められているとのこと。シーラントを受けることによる虫歯予防効果は完璧ではないものの十分に期待して良さそうです。
シーラントはフッ化物と併用することにより虫歯の予防効果を高めるとのことですが、今回、うちの4歳の歯に使用されたシーラントにもフッ化物が含まれていました。
歯科医からは時間の経過とともにフッ化物が歯に染み込んでいき、虫歯の予防効果が高まるとの説明を受けています。
うちの子が処置してもらったシーラントは3M(スリーエム)という企業が製造しているものです。3Mのホームページではシーラントについてのイラスト付きの解説や3歳の子が実際にシーラントを受ける動画が掲載されています。
シーラントは安全?危険性は?
今回歯医者さんで初めてその名前を知ったシーラントですが、危険性などはないのでしょうか。やはり処置してもらうのは子どもですから安全面は気になります。
再びe-ヘルスネットから安全面について言及されている箇所を引用します。
一部のレジン系シーラント材に含まれるビスフェノールAの環境ホルモン様作用の危険性が1996年に指摘されました。しかしその後の研究によって当時危惧されたような危険性は、現在では調べうる限りないとされています。
1996年に危険性が指摘されたことがあるが、現在では調べうる限りそれらの危険性はないとされているとのこと。
今後、新たに危険性が指摘される可能性は否定できませんが、それはあらゆる治療方法に対して言えることですからね。現在分かっている範囲では安全面での心配はそれほどしなくても良さそうです。
シーラントには保険が適用されるのか
うちの4歳が受けたシーラントの処置には保険が適用されました。保険が適用された場合の自己負担額は500円前後とのこと。今回は私たちが住んでいる自治体の乳幼児医療費助成制度により自己負担はなく無料でした(ありがたい)。
調べてみたところ、シーラントに保険が適用されるかどうかは初期の虫歯があるかどうかによって変わってくるという情報があります。あくまでも健康保険は治療目的の場合のみ適用されるもので、「予防目的」の場合は適用外だと。
ただ、小児歯科医が監修しているあるサイトの記事では、子どもの虫歯予防のためのシーラントは保険が適用され、子どもの医療費助成の対象となるケースが多いと説明されています。また、保険が適用され医療費助成の対象となるかどうかはそれぞれの歯科クリニックによって異なることがあるとも書かれています。
うちの子の場合、初期の虫歯があったから保険が適用されたのか、そもそも子どもの虫歯予防のためのシーラントは保険適用として事務処理?しているのか本当のところはよく分かりません。
お子さんにシーラントを受けさせようと考えている方は処置してもらう予定の歯科クリニックに一度問い合わせてみることをおすすめします。
定期的なチェックが必要
処置が全て終わった後、「次は3ヶ月後くらいに来てください」と言われました。
シーラントは食事や歯磨きなどによって破損したり取れてしまうことがあるそうです。また経年劣化もするので、定期的なメンテナンスが必要とのこと。
その際に他の歯の状態も診てもらえると思うので、今後は子どもを定期的に歯医者に通わせることになりそうです。
おわりに|子どもの歯磨きは毎日が戦い
子どもの歯を磨くのって大変ですよね。
これまでの子育てを振り返ってみると、夜泣きや寝かしつけ、イヤイヤ期の対応など、大変なことだらけでしたが、目下の課題というか現在の最難関タスクは歯磨きです。
うちの4歳は保育園では歯磨きを自分でしていますが自宅では自分でやろうとしません。気が向いた時にやることもありますが、かなり適当。仕上げ磨きを入念にしなければならない状況です。
この仕上げ磨きを思うようにさせてくれないので毎日戦っています。
先日Twitterでも愚痴ってしまいました。
片時もじっとしてくれない文字通り制御不可能な幼児を相手にした仕上げ磨きがかなりの苦行。子との戦いというより自分自身のイライラとの戦い。
— かつかつ主夫 (@katsu2_shufu) 2018年8月21日
しかも毎日仕上げ磨きを頑張ってきたにもかかわらず、初期の虫歯が一箇所見つかりこれまでの苦労が報われなかったような気がしてけっこう凹みました。
やはり歯磨きや食生活を気にかけるだけでは完璧に虫歯を予防するのは難しいのですね。
子どもの虫歯予防で定番になりつつあるフッ素(フッ化物)塗布や今回うちの4歳が受けたシーラントは、親・保護者の力が及ばない範囲をカバーしくれます。保険が適用されることも多いようですし、子どもの医療費助成制度が充実している自治体であればおそらく自己負担額も低く抑えられるでしょう。
私が子供の頃とは時代もずいぶん変化しているようで、子どもの歯を守ろうという意識は社会全体でかなり高まってきています。
一方で経済的な事情で子どもの歯をケアする余裕のない家庭もあり、健康格差が拡大しているとの指摘も。
子どもの歯の状態は周囲の大人がケアしなければ確実に悪化するものだと思うので、経済的な事情等で歯磨きに手が回らない人たちへの社会的な支援も必要でしょうね。
今回うちの子が受けたシーラントは、どうしても磨き残しが出てきてしまい虫歯になりやすい奥歯を中心に施されるものなので、日々の仕上げ磨きで苦労している親・保護者にとってはかなり助かる虫歯の予防法だと思います。
シーラントを受けてからも仕上げ磨きはなるべく丁寧にやっていますが、正直少しだけ気が楽になった部分はあります。自分たちだけで背負ってきたものを歯医者さんの助けで少し軽くしてもらったような感じです。
私自身は虫歯治療でかなり苦労しており、子どもには同じ思いをさせたくありません。
上手く歯医者さんの力を借りながら子どもの歯の健康を守っていけたらと思っています。
参考リンク
今回、シーラントについて調べる際に参考にしたページのURLを付記しておきます。
e-ヘルスネット
一番参考にしたのは厚生労働省が運営しているe-ヘルスネットというサイトです。生活習慣病など、歯科治療だけでなく健康な生活を送るために必要な情報がまとまっています。
記事は各分野の専門家が執筆しており、信頼性も高いものと思われます。
公益社団法人 日本小児歯科学会HP
日本小児歯科学会(公益社団法人)のホームページも参考になりました。
子どもの歯についてのQ & Aなども充実しています。
その他、歯科クリニックのページなども参考にしましたが、シーラントの保険適用について見解が異なっているなど記述にばらつきがあるので複数のサイトを見比べる必要があると思います。
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