photo credit: Amsterdam beweegt via photopin (license)
保育園の送り迎えってなかなか大変ですよね。
忙しい朝は時間に追われて戦争状態。お迎えの時間が近づいてくると時計ばかり気になって仕事に集中できず。延長保育の時間ギリギリになってしまえば仕事で疲れた体に鞭打って園までダッシュ。
保育園が駅や自宅から遠かったり、台風や雪の日であれば送迎に要する労力はさらに増します。
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問題なのは、働く母親が過剰にその負担を背負わされてしまっていること。
私は保育園の送迎を担当していますが、やはり見かけるのはお母さん方が多いです。お迎えに来る父親は本当に少ない印象。
共働き家庭であればなおさらですが、このアンバランスは解消する必要があると思います。
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目次
働く母親にかかる大きな負担
毎日新聞のネット配信記事にこんなものがありました。
明治大学商学部准教授(当時)で社会学者の藤田結子氏が、保育園の送迎の現状を伝える内容です。記事中、保育園の送迎の大変さについて次のように書かれています。
子供の送り迎えはかなり複雑なマルチタスクです。疲れた体で通勤電車に揺られ、夕食の献立と食材の買い物を考えつつ、駅に着いたらヒールの靴で小走りに駐輪場へ。全速力で自転車を飛ばし、ぎりぎり園に滑り込みます。休む間もなく買い物と夕食作りですが、いくら効率よく成し遂げても評価されることはまずありません。
壮絶ですね。我が家は私が在宅フリーランスで妻は職場まで徒歩圏内、保育園は自宅から自転車で10分弱という送迎の面ではそこそこ恵まれた環境にありますが、それでも楽ではありません。
自宅から会社や保育園が遠かったり、さらに子どもがそれぞれ別の保育園に通っていたりすれば、体力的にも精神的にもとてつもなく消耗するであろうことは想像に難くありません。
問題なのは、多くの共働き家庭において送迎という負担の大きいタスクを夫婦でシェアするのでなく、働く母親に一方的に担わせてしまっている現状です。
再び先ほどの記事から引用します。
厚生労働省の調査(2012年)によれば、保育園の送り迎えをしている約171万世帯のうち、「送り迎えとも母親」は115万世帯(約7割)に達しています。「父親が送り、お迎えは母親」が16万世帯、「送り迎えのいずれかが母親」が13万世帯。共働きであっても送迎は圧倒的に母親の役目、父親がお迎えを担当する世帯は1割以下です。
共働き家庭でも送迎を担っているのは圧倒的に母親であり、特にお迎えを担当している父親がとても少ないとのこと。お迎えに来る父親が1割以下というのは、普段娘の送迎をしている私の実感とも合致しています。
各家庭ごとに事情は異なるでしょうが、お互いに働いているわけですから送迎の負担を上手にシェアできた方が良いと思いますし、なにより負担が片方の性別に偏っているというのは大きな問題です。
さらに、最初に引用した箇所に書かれているように多くの共働き世帯では夕食の支度等の家事負担も母親に偏っています。
このような状態が続けば、フルタイムで仕事がしたいと思っている女性たちもスタミナ切れしてしまうことは自明です。
多くの人が時短勤務やパートタイムを選択するなどして、昇進や昇給から遠ざかるいわゆるマミートラックへと追いやられます。
皆が皆、雑誌で特集されるようなバリバリ働いて家事も育児も完璧にこなすスーパーワーキングマザーになれるわけないし、そもそもなる必要もありません。
そんな過大なタスクを働く母親に要求するなら、なぜ働く父親に同じことを要求しないのか。
日本社会における旧態依然とした性別役割分業意識の歪さがここに表れています。
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【経験談】保育園の送迎で見かける父親の割合
保育園の送りでは父親の姿もちらほら
私は在宅で仕事と家事をしている兼業主夫です。
時間の融通がきくので、基本的に保育園の送り迎えは私が担当しています。
仕事が早く終わった時には妻が行ってくれることもあるので(ありがとう)、いい感じにシェアできていると思っています。
私の主観なので正確な数字としては出せませんが、うちの娘が通っている保育園(東京市部)では朝、父親の姿をけっこう見かけます(祖父母が送っている家庭もあります)。
それでもせいぜい4人か5人に1人くらいの割合なので、決して多くはないですが。
保育園のお迎えでは父親を滅多に見かけない
お迎えとなると、断然お母さんだらけです。
お迎えに来る父親の割合は10人に1人くらいでしょうか。
地域差などもあるでしょうが、異様に少ないことは間違いないと思います。
最初の頃はお母さんばかりの中でお迎えに行くのはちょっとなぁと思ったりもしていましたが、今では何も感じないですね。顔見知りになったお母さんたちと話をすることもあります。
私の他にも珍しくほぼ毎日お迎えに来るお父さんがいて、その方とはパパ友になりました。
働き方を変えていく必要性
お題目のように「女性活躍」などと唱えているだけでは意味がない
少子高齢化、人口減少社会に入った今日、女性の活用やら女性の活躍といった言葉が声高に叫ばれていますね。
保守政治家のおじいちゃん達の中にも「移民を受け入れるくらいなら女を働かせた方がまし」と考える人が多いようです(最低な発想)。
ただ、人口減少という問題解決のための方法は色々と議論に上がりますが、いざ実行するとなると一筋縄ではいかない現状があります。
表向きは女性活用を謳う政治家が、そもそも育児や労働環境等についての知見がなく、有効な手立てを打てていません。
「男は外で働き女は家で子育てするべき」といった「昭和かよ!」と突っ込みたくなるような旧来型の思考に凝り固まっている人(政治家に限らず)が日本社会に多いという現状もあるでしょう。
長時間労働の是正
私が特に問題だと思うのは、日本企業が社員を会社に縛りつけ過ぎだということです。
小さな子供がいる父親・母親に当たり前のように遅くまで残業を強いるという企業体質が子育て世帯(特に母親)の生活を圧迫し、保育所の負担を増やし、キャリアを断念する人を増やし、少子化を進め、労働人口を減らし、税収を減らし、財政を火の車にする、といったら言い過ぎかもしれませんが、こういったことの主な原因になっていると思います。
私もサラリーマンをやっていたので分かるのですが、「会社に長くいるやつほど偉い」という古臭い価値観がいまだにはびこっているんですよね。
しかも父親の中には「俺一人だけ早く帰れるわけないだろ」とかなんとか言って、国際的に見れば極めて特殊な日本の企業文化をあたかも普遍性を持った常識であるかのように振りかざし、家事、育児の責任から逃れるためのエクスキューズとして利用する人もいます。
長時間労働を是正し定時で帰るのが当たり前という認識が広まっていくことで、仕事を理由に家事・育児を妻に丸投げしてきた夫は言い逃れできなくなるでしょう。
日本の企業文化、労働環境の変革がなされれば、子育て世帯の壮絶な日常はもう少しゆとりあるものになるでしょうし、それは親子双方にとって良いことです。
私には保育園の送り迎えの光景が、ジェンダーギャップ指数世界114位の日本の現状をそのまま映し出しているように思えます。
最近、送迎の際に見かける父親の姿が増えてきてたような気がしているのですが、これが変化の兆しであるかどうかはまだ分かりません。
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